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「ちょっとレン!クラーケンって誰よ!」
ミイは敵の動きを抑えるために魔法で攻撃しながら俺に尋ねてきた。
俺はエネルギー砲を相殺させたあと、更に追い打ちをかけるために違う魔法の準備に取りかかっている。
「くっ! こいつはデスパイアの三大洋の1つを治める、海の魔物『クラーケン』だ!」
俺は『アイスランス』を乱発してクラーケンの足に何本も突き刺しす。氷の槍はクラーケンの丸太よりも太い足にしっかりと突き刺さり、その箇所から少し凍りつけた。
クラーケンはデスパイアの魔物で、1度だが会ったことはある。
大した会話をした訳ではないが、自分の事を中心に考えたがる嫌な奴ではあった。
「な、なんで魔物が!? ぐっ、キリがないわ……1000年前に絶滅した筈じゃ!」
「分からん!とりあえず今にもできるのはこいつを抑えることだ!
このレベルの魔物は殺す気でかからねぇと殺されるぞ!」
何本もの足による猛攻を躱しながらミイに向かって指示を出す。
クラーケンは魔物の中でもかなり上位に分類される魔物だ。俺の配下の奴らにも引けを取らない強さをしている。
「ぐももももっ!!」
クラーケンの足による攻撃は氷の足場に当たったりしているが、エレナのお陰で壊れたところから勝手に修復してゆく。
攻撃を躱しながら俺はクラーケンがこの世界にいる理由を考える。
ほとんどの魔物は言葉を話せる。
だが、今は、ぐもぉぉっとしか話さない。 恐らく、言語機能が働かないほどに錯乱状態になっているのだろうか。
「なにはともあれ……!
まずは動きを止める!」
『アイスランス』の連発を一旦やめ、他の魔法でこの状況にぴったりなものを思い浮かべる。
俺だってチートキャラじゃねぇ、使える魔法の種類だって決まっている。