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研究所内は冷房がかかっていて、俺の汗は既にひいている。少しベタついてはいるが。
「フィフスー、今から服着るから見ないでよー?」
「ちっ、早くしろ」
何故あいつは俺に行動を知らせてくるのだ。反応しなければならない俺の身にもなってみろ。
俺は2人が出てくるのを待ちながら研究所全体に探知結界を張り巡らす。 シャワー室前で見張りをしながら魔力を溜め、今やっと発動することができたのだ。
「……いないな」
現在探知できるのはここにいる俺を含めた3人のみだ。 やはり研究者達は既にこの場所から逃げていたようだ。
「ふぅぅ、スッキリしたぁ!」
「……りふれっしゅ……」
シャワー室から髪がまだ少し濡れているシルヴィアとトゥエルが戻ってきた。
2人とも手にタオルを持って髪の毛を拭いている。
「トゥエル、乾かしてやる」
「……ありがとー……」
いつも家でやっているようにトゥエルの頭に手を乗せて、重力と火属性の魔法を利用し髪の毛から水分を適量蒸発させる。 これを行うと髪を痛めずに即乾かすことが可能なのだ。
「ずるーい、私もやってよー」
「お前なら自分でできるだろうが」
「えぇー、フィフスったら照れちゃってぇー」
「……俺はてめぇが教師だとは到底信じられないな」
座りながら結界を壊さないために魔力を維持している俺に、シルヴィアは少し濡れた長い茶髪を俺にバシバシ叩きつけてくる。
真剣にウザいんだが。
「……?なんだこの反応」
「早く乾かしなさいよー」
「少し黙ってろ!
どんどん魔力の反応が大きく……」
ある一点の魔力が初めは物凄く小さな反応だったのに、少しずつ上昇、かなりの大きさになっていく。
これは……
「上だ!!」
ドォォォォォォォンッ!!!
俺の言葉と同時に研究所の天井を突き破って魔力の反応が墜落してきた。




