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「ニャア」
「……む……」
「ニャアニャア」
「……」
「ニャアニャアニャ」
「だぁぁぁるっせぇ!!」
「ギニャッ!?」
俺はプリンのいつまでも終わらない鳴き声に我慢できなくなってベッドから飛び上がった。
プリンは驚いた声を上げるが、そのまま俺の方に飛び乗った。
寝起きから面倒な黒猫だこいつは。
「はぁ、快眠快眠!」
黒猫のプリンに起こされたとはいえ、ベッドでの睡眠は快適なものだ。
昨日の夜はこの世界にきて身体が慣れてないか、ベッドに入ると今後のことを考える前に眠りについてしまった。
「おっはぁー、レンくんだよぉーー」
「……ニャア」
俺はリビングのドアを開けると朝の挨拶をする。
「……誰もいないのか」
「……ニャア?」
テーブルの上にこの世界の文字で書き置きがしてあった。
『学校に行くから留守番お願いね。
合鍵も置いておきます。
エレナ』
「ほうほう、学校てあれだな、デスパイアでいう学び舎のことだな」
俺は合鍵をポケットにしまうと、とりあえずイスに座る。
何故この世界の文字が俺に理解できるのか。
そして飛行型兵器の言葉は全く聞き取れなかったのに、他の人(マッチョ含む)のは聞き取れたのか。
……わかんねぇ。
この世界にきてから無駄に気絶する回数も増えたし、変な夢も見た。
「むぐぐぐっ…!
わからん!
こうなればエレナ達の下着を漁ってデスパイアに帰るのみ!」
「ニ"ャッ!」
俺が犯罪予告をしたところ、プリンに思いっきり顔を引っかかれてしまった。
ちっ、こいつ誰のお陰でここに住めたと思ってやがる。
俺は引っかかれた頬を抑えて書き置きの手紙を手に取ると、下にもう一枚書き置きがあった。
『追伸
このお金で昼飯でも食べなさい糞豚』
「ぷぎぃぃぃっ!ツンデレ萌ええぇえっ!!!」
「……ニャァ…」
置いてあったお金をポケットに入れて服装を整えると家を飛び出した。
エレナの家は俺達が墜落してきた山の麓にあり、周りには野原が少し広がっていた。
少し寂しげなとこだな……
大してデカイ家じゃないし、周りに家もない。
隔離でもされてるかのようだ。
「うわ、こりゃすごいな……」
「ニャニャ!」
少し歩くと見えてきた景色にプリンも驚いたようだ。
デスパイアでここまで発達している都市は、俺が開発した魔王城くらいしか知らない。
いや、おそらく魔王城なんて比にならないくらい発達している。
科学について詳しい俺が言うんだ、間違いない。
「ハァハァこの世界の可愛い女の子はどこじゃぁ?」
「……ニャァ…」
街に入るとあまり人の数は多くなかった。
みんな学び舎とか仕事にでも行ってるのだろうか?
おもしろくないな。
俺は人があまりいないのに不貞腐れてブラブラと街を歩き出した。
と、10分ほど歩いたところである発見をした。
「美少女発見!ストーキング開始!」
「……」
俺の魔王レーダーが後ろ姿を捉えただけで伝えてるぜ?
君は美少女だって!
「へい!そこの美少女!」
「あ?」
「……この辺りに食事できるとこ知りませんか?」
爆死した。
「いらっしゃいませ!」
後ろ姿だけ美少女に爆撃して教えてもらった飲食店に入ると、店員が笑顔で挨拶してくれた。すまん、もうちょっと若かったら魔王様興奮したんだけどな。
メニューの字も読めたのでうまそうな豚バーガーにした。
うん、うまそうな糞豚だ……じゅるっ。
「つーかマジでこれからどうするかなぁ……」
マントの裏の隠しポケットからパソコンを取り出してテーブルの上に置く。
ちなみに街の人々はマントなど着ていなく、デスパイアの簡単な服装とは違って皆異なった服装をしていた。
なので俺のマントはかなり目立っていた。
とりあえず美女のやつとチャットしてみるか。