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「ありがとうございました」
「うん、『ニ閃』のキレも凄く良くなってる。それに『散閃』も、動きが読み易かったけど正確に急所を狙えていたね」
僕は訓練での感想を述べていく。
『ニ閃』『散閃』は先週僕が教えて上げたものだ。
それをたった一週間で会得して再現までするとは、中々の才能である。
「今日の課題は何かおありですか?」
「『紫電』の強化だね、まだまだ一撃のパワーが低過ぎる」
ここなら大丈夫かな、と思った僕は『光陰の聖滅剣』を創造し、地面と平行に肩の位置まで持ち上げる。
「『一閃』」
ズパッ!!!!!
聖滅剣はまるで闇を全て消し去るかの如く白い光を放って隔離エリアの壁に向かって突き出される。
空気……いや、空間自体を切り裂いて斬撃は自体隔離エリアの壁へと接触、そして軽々と壁を突き抜けた。
「あ……」
「す、凄いですわ……顕現している剣の魔力の濃度がまるで違います……」
「ごめん!ちょっと強く放ち過ぎてエリアの外まで衝撃が……」
おそらくさっきの一撃はホテルの壁を全て貫通してホテル外まで飛び出ただろう。
「それなら大丈夫ですわ。
この空間はホテルと違う次元がありますので隔離エリアの外には何もありませんの」
「そうなんだ、じゃあ大丈夫だね」
僕は一安心すると今日のこの後の予定を考える。
今はまだ10時前だ。テレポートでこのホテルへ来たので移動時間などはあまりなかったのだ。
神無と刀音は柊菜の訓練の間、水着を選びに柊菜の部屋へ行くと言ってたな。
「とりあえず僕は自室に戻るよ。
柊菜は2人のところへいくんだろう?」
「ええ、そうさせていただきますわ。
既に使用人にあなたの水着は用意させてありますので、気が向いたら屋上までいらして下さい」
「はーい」
僕はそう言うと、隔離エリアの出口へと向かった。




