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『うわぁぁぁっ!?何だコイツは!?』
『不審者だ!急いで捕まえろ!』
工場の中の人々は僕を目にすると敵意をむき出しにし、捕まえようと武器を取り出した。
「ち、違うんです!何故かゴミ置き場にいたんです!」
でも、僕の言葉は誰も信用しなかった。
ガッ!
「いっ!」
後ろから棒状の物で殴られた。
僕は突然の攻撃に怯み、フラついて床に倒れた。
何で……?
『へへっ、大したことないぞ!
さっさとロープで縛り上げちまえ!』
僕はただ、助けて貰いたかっただけなのに。
容赦のない攻撃は続く。
何度も何度も殴られて、おそらく防御していた腕の骨は折れてしまっている。
「ぐっ…」
僕は人の心の悪意と幾度とない攻撃に気を失ってしまった。
この世は理不尽だ。
たとえ世界を救った勇者といえど、視点を変えれば悪になる。
『……ザザ……Y=システム作動』
そして、世界は真っ白に染まった。