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「あぁ、そういえば森の中だったよなぁー
マッチョに襲われてる俺がミイを抱えて森を滑り降りるっていうカオスな状況」
「ほんっとに訳が分からなかったわ。
あの時まだ声が出なかったから良かったものの、普通なら犯罪よ?」
「反省しております」
俺もマッチョに追いかけられていてパニックだったからな。
それに魔法もちゃんと発動できてなかったし。
「って、また話が逸れたじゃない。
私達の出会いなんて良いからデスパイアの話をしてよ」
私達の出会いだってよ。
どこのカップルだ。
「はいはい……
王国がいくつかあったんだが、それを支配する奴がいたんだ」
「……魔王?」
「そうそれ!この俺、魔王様であります!」
「……信じ難いわね。
だってそれなら人々は結束して、あんたを殺そうとする動きになるに決まってる」
「そう考えるは普通だな。
でも、ミイが思い描いているのは、『王国が人々を纏めている世界』を俺が支配したってことだろ?」
うん、とミイは頷く。
こいつは意外と頭が良いから理解が早くて楽だ。
エレナは実はバカらしい。
ミイがエレナの成績は魔法以外はダメダメだと言っていたのを聞いたことがある。