12
「ふんっ!!」
「ぶふぉぁっ!!!?」
一瞬だった。
俺が宙に身を投げ出し、ミイまでの距離が近づいていった時。
ミイの足が俺の腹に突き刺さり、俺の身体は壁へとぶっ飛ばされた。
「い、いてて……ぷぎゅむっ!?」
「あんた遂にそこまで落ちぶれたのねぇ?」
グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ
「あひゃぁっ!?いで、いででででで!!」
「同居し始めてから結構日が経つけど、そこまで欲望にまみれてるなんて思わなかったわ」
グリグリグリグリッ!
「あふぉっ! 鼻がぁぁっ!」
床にうつ伏せに倒れこんだ俺の頭を足で踏みつけるミイ。
しかもグリグリしてくる。
鼻が床とキスしていて、変な形になってしまいそうだ。
「今までは変態発言だけで実行はしなかったから見逃して上げてたけど……私を襲おうとするなんてねぇ…?」
ミシミシミシッ
頭が!頭蓋骨が変な音を!!
「あぎゃぎゃぎゃ!!気持ちぃぃぃっ!
じゃなくて、
ち、違う! ミイが可愛い過ぎたからだって…くぼぁっ!」
「……っ!? そ、そんな言葉には騙されないわよ!」
「あぉっ! ほん、ほんとだって!」
俺は抵抗するのをやめて身体の動きを止める。
「俺は自分には素直なんだぜ?」鼻が押さえつけられてるせいで鼻声だったが。
「……っ、分かったわよ!
今回だけよ!」
ミイは納得してくれたのか足をどけてくれた。
「ぶはぁっ! 死ぬかと思った…」
「大袈裟よっ」
なんとか鼻が折れていないのを確認した俺はベッドに倒れこんだ。
立ち上がっていたミイはその端に腰掛ける。
「で、さっきのは本当に本当なんでしょうね?」
「ん?何が?」
俺は枕に埋れている頭を少し動かしてミイの方へ視線をやる。
「あの、えっと、その……
わ、私のこと……かわぃぃ……って言ったことよ!」
顔を真っ赤にしてミイは告げた。
俺は真っ赤になりながら何故か少し涙目で俺を見てくるミイを凝視してこう言った。
「もう一回踏んでください」
※この後めっちゃ踏みつけられました。