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統治機関
「No.05の調整はなかなか上手くいってるな」
「はい。
No.12とのリンクも完璧ですし、何よりあの能力は無敵です」
「それで?あの映像の少年の身元は分かったのか?」
「それなら分かりました。
レン=アクセル。
第十高等学校の代表選手だそうです。」
「第十高等学校の……か。
今年の学校対抗戦は荒れるぞ…」
「実験終了後のNo.7は一般人として第一高等学校に所属になっています」
「そうか……分かった。
ニートの警戒を解除しておけ。
私は少し研究所に篭る」
「はい。
『ザザッ ステルス機能搭載爆撃機、警戒態勢解除、所定の位置へ戻れ』」
ニートでの爆発テロ。
統治機関は取り引きに応じなかったわけではない。
完全に制圧することが常に可能な状況下ではあった。
ニートの上空に浮かぶのは約10機もの爆撃機。
街一つ焼き尽くすのに1時間も掛からないシードの最高戦力の1つ。
「最高戦力…というものの、まだ少し、強化しておかないといけないですね……」
1ヶ月ほど前のことだ。
爆撃機10機が復旧不能にまで破壊されて帰ってきた。
その破壊痕はこの世界ではあり得ない形のもので、まだ誰が破壊したかは解明していない。
「……最近、慌ただしくなってきましたね」
白衣を身に纏った男は、忙しさが嬉しいかのように口元を吊り上げるのだった。