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「くくく……統治機関からの通信もねぇし……仕方ねぇか……」
「……どういうことだ」
「俺達は機関に対し、この街の奴らを人質にして交渉をした。
圏外の発展だ」
……情報通りこいつらは圏外出身だったか。
「……工場従業員無差別傷害事件」
「そう、それだ。
俺たちはあれは機関の者が使いを送ったと推測してる。
この世界で目障りな俺たちを始末するためにな!」
おそらくあの事件は機関の仕業ではないと俺は思っている。
トゥエルとかなり時間を割いて調べたんだ。間違いない。
「だが今、テロを起こしたというのに統治機関は連絡も何も寄越さない!
……事前に仲間に連絡をさせてある。
俺達が死んだら圏外の仲間全員でデモを起こせ、とな」
男は自分の服を首元から破ると、身体に刻まれている紋様を俺に見せつける。
「……てめぇ」
自爆テロ。
こいつらの最終手段。
「そいつはの身体にも俺の爆発と共鳴して爆発するようになってある!
街にいる仲間もだ!
全員……死ぬ覚悟はできる」
「くそっ!やめやがれ!!」
俺はトゥエルだけでも助け出すために男に向かって走り出す。
「……ふ、はははは!!
俺たちの死で故郷が発展するなら本望!!」
キュィィィィンッ 男の身体に刻まれた紋様、人体刻印式魔法陣が輝きを始める。
人体魔法陣はリスクが高い代わりに効力は絶大。
特に自爆は特級魔法に匹敵するという。
「うぁぁぁぁぁっ……!!
がっ……!?」
刹那、男の心臓は白く輝く刃によって貫かれた。