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形勢逆転、とは言い難い状況だった。
赤髪の男は目に見えない何かの力によってテロリストを吹き飛ばす。
骨を折ったのも筋肉を断裂させたのもその力によるものだ。
得体のしれない力、人質を取ったところでその力に対処できない限りテロリストに勝ち目は……
「……ちっ……」
「……どうした? その力を使えば、その辺の仲間みたいに俺を半殺しにできるんじゃないのか?」
「……『フォース』」
男の推測を破るために俺は『フォース』を発動しようとする。
「……ごめ…ん……」
しかしその効力は全く発動できず、男にも何も起こっていない。
「(くそ、トゥエルとのリンクが切断、または妨害されてる…!
トゥエルの精神不安が原因か!?)」
「随分動揺してるみてぇだな?
目が揺らいでるぜ?」
まだトゥエルとのリンクは感じられる。
だが『フォース』を発動できない時点で妨害はされている。
まずいな……俺の魔法はほとんどが広範囲にわたる高火力の魔法ばかり。
今ここで発動すればトゥエルを巻き込みかねない。