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「いただきます~~~」
朝から思わずハッスルして、PV五本分も踊り抜いてしまったから、もう紫のお腹ペコペコだった。
命が作ってくれた美味しい朝ご飯が、どんどん入っている。
「ところで、僕は今日学校だけど、あなた達はこれから、どうするの?」
「もちろん、パパと一緒に学校へ行くよ」
「っぶ!」
八見が見事なまでの漫画的表現で、命の手作り朝ご飯を噴き出してしまった。
急いで紫が台ふきを探して、
「お父様、わたくしの料理、お口に合いませんでしたか?」
席を立とうとした瞬間には、メイド服の命が既に八見のお世話を始めていた。
鋼鉄のアイスフェイスだが、命の行動はこれ以上なく素早い。
「いや、そっちじゃなくて。あなた達が学校へ行くって話に驚いたんだよ」
「………そうですか」
八見のお世話が終わると、無表情に呟き、自分の席に戻っていって、黙々と朝ご飯を食べていく。
「先に言っておくけど、学校に着いてきても門前払いを受けるだけだと思うから、大人しくしておいた方が良いと思うよ」
「ふふふ、パパ、それは問題無いのだよ。見たまえ、この制服が目に入らぬか!」
「っぶ!」
またしても、八見がご飯を吹き出してしまった。
本日二回目だ。
今度こそ、紫がお世話を………と決意して立ち上がろうとした時には、またしても命が、お世話を始めていた。
(流石、鋼鉄のアイスフェイスの二つ名をもつメイメイ。その神速は伊達じゃないね。…………次は負けないもん。ぐすん)
「紫さん、それ何処で手に入れて来たの?」
「何処って、お空ちゃんが、はいどうぞってくれたんだよ」
八見が疑惑に満ちあふれた視線で、スカイを見つめている。
「そんな人を泥棒であるかのように、見られるのは心外でござるな。親父殿、安心するでござるよ。その制服はちゃんと、入学手続きを踏んで手に入れたもの。ついでに言うと、紫殿だけではなく、拙者と命殿も、本日からご学友でござるよ」
そう言うと、スカイのみならず、命までも紫とおそろいの制服を八見に掲げて見せてきた。
既に入学準備は万全であったようだ。