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親子部~みんなで仲良く子作りしましょう~  作者:
第一章 三人の娘達
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1-1


 彼の名前は、立木たつき 八見やつみという。

 自由な校風で有名な葵高校に通っている高校二年生。

 成績は半分からちょっと下に落ちたぐらい。

 小さい頃に両親に捨てられたため、高校に入学するまでは孤児院で暮らしであった。

 だが、今は、学校公認でバイトをしたり、お嬢様な幼なじみの助けもあって、なんとか生計を立てながら、一人暮らしを続けられている。

 今日の八見のバイトはヒーローショーだ。

 デパートの特設ステージの上で、真っ赤なスーツに身を固めた正義の味方、レジェンド・フレアが黒ずくめの戦闘員に迫っていた。

 八見が練習通りのステップを踏み、繰り出された刃を避け、地面に崩れ落ちると、観客席から小さいけど精一杯の声援が、正義の味方に浴びせられる。

 まだまだ駆け出しの八見はヒーロー役ではなく、邪心帝国ダイジャキガンの下っ端戦闘員、ジャットルパーだった。

 戦闘員役の八見は一度舞台袖に引き下がる。

 ステージ上では主役ヒーローが悪の怪人相手に正義の心を解いているけど、悪の怪人は一向に聞く耳もたない様子が若干コメディータッチに描かれていて、所々、子供達の笑い声が起きている。

 日曜日だけあって、ヒーローショーを見に来ている子供達の姿は多かった。

 中には絶対、子供連れじゃないだろうって感じの大人もちらほらいたけど、八見もこの年になってもヒーロー物が好きで、好きが転じてバイトまで始めちゃう、ある意味で筋金入りだ。

 他人の事は何も言えない。

 ステージ上では、正義の味方、レジェンド・フレアの必死の説得も虚しく、悪の怪人が逆上を初めて暴れ始めた。

「おい、出てこい、ジャットルパー。このくそ生意気なレジェンド・フレアを倒してしまえ!」

 ステージ上で大見得を切っている悪の怪人から招集命令が出される。

 さ、再びの出番だ。

 八見は戦闘員独特の不思議な叫び声を上げながら、舞台に戻っていく。

 ヒーローの仮面に比べれば格段に視界の良い戦闘員マスクからは、観客席がとてもよく見えた。

 観客席に目をやると、子供達が必死にレジェンド・フレアを応援している。


 そんな中、自然ととけ込むように一人の美少女がいた。


 髪はセミロングに切りそろえられていて、柔らかそうな頬は、見ているこっちを不思議と穏やかにさせてくれるような気がした。

 その栗色の瞳は、近くにいる少年少女達に負けて劣らぬほど輝いて、仮面越しに彼女と目があった。

「戦闘員、ジャットルパーさんも頑張ってねぇ~~~~!」

 って、そこの美少女さん、ヒーローショーで戦闘員応援しちゃ、駄目でしょう!

 ちゃんと空気、読もうよ。


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