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第七話「俺を周りのリア充たちと一緒にするな」

雨はいまいち好きになれない。

雨の日はじめじめするし、傘を差しても足は濡れるし、何より屋上に行けない。

雨の中傘を差しながら昼飯を食うなんてことをするはずがなく、今俺は学食で昼飯を食っている。

学食にはそれなりに人がいる。

俺は人が多いところはあまり好きではない。

なのでさっさとこの場から離れようと昼飯を黙々と食っている。

するとポケットの中の携帯電話が振動した。

メールのようだ。

差出人は本多翔太(ほんだしょうた)

中学の時唯一仲の良かった奴だ。

中学を卒業してからもこうして時々連絡が来る。

俺はメールを開封した。


『和也! 久々に会わないか? 都合がいい日を教えてくれ!』


どうせ毎日暇を持て余しているので


『今週の日曜に晴れたら、十時にいつもの駅前で集合』


曜日と時間、集合場所だけをを書いて送信した。

するとすぐに


『了解!』


という返信が来た。

これで今週の休日は用事ができた。

暇をもてあそばないで済む。

俺は急いで昼飯を食べ教室に戻った。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



日曜日俺は約束通りに指定した場所で翔太のことを待っている。

今日は見事に晴れた。

周りにも俺と似たように誰かと待ち合わせをしていると思われる人が何人かいる。

この人たちはデートだろか?

リア充め爆発しろ!!

「あれ? 宮野君?」

「ん?」

誰かに名前を呼ばれたので声のした方を見てみると、

「吉田?」

我がクラスメートの吉田がいた。

「こんなところで偶然ですね」

「そうだな」

「………」

…会話が続かない

「よ、吉田は誰かと待ち合わせか?」

「はい。宮野君は?」

「俺も待ち合わせ」

沈黙は気まずいので何とか会話を続けようと頑張っていると、

「真理ちゃん。ごめん。待った?」

「ううん。そんなに待ってないよ」

長塚がやってきた。

「あれ? 和也君?」

「よう」

ミスったな…

吉田が待ち合わせてるのが長塚だったなんて。

「こんなところで偶然だね」

「そうだな」

このやり取りさっき吉田とやったな…

「これってもしかして…運命?」

「なわけあるか」

なんか長塚との遭遇率は結構高い気がする。

運命というより呪いじゃね?

「ところで和也君はこんなところで何してるの?」

「吉田。教えてやれ」

「ええ!? 私?」

「真理ちゃん知ってるの?」

「う、うん」

「そりゃ今さっきまで話してたからな」

いまいち会話続かなかったけど…

「真理ちゃん教えて?」

「待ち合わせしてるんだって」

「誰と?」

「さぁ…?」

「和也君。誰と?」

「誰だっていいだろ」

「もしかして彼女!?」

「俺を周りのリア充たちと一緒にするな」

彼女いない歴=年齢の俺。

「中学の時と友達とだよ」

「和也君友達いたの!?」

「有希ちゃんそれは失礼だよ」

吉田の言うとおりだ。

いくらなんでもそれは失礼だと思う。

と言っても翔太以外友達といえる奴はいない気もするが…

「和也君の友達ってどんな人?」

「別にどんな奴でもいいだろ」

「いいじゃん教えてよ」

「そんなこと聞いてる暇があったらさっさと吉田とどっかに行けよ。吉田が暇してるぞ」

吉田に助けを求めてみると、

「そんなことないですよ。私二人のやり取り見てるの好きなんで」

あれ~?

吉田は助けてくれると信じてたのに!

「だってさ」

何故か勝ち誇った顔をする長塚。

なんか悔しい。

「お、いたいた。和也!」

このタイミングで来るか…

「何で来たんだよ。翔太」

「ええ!? 何でいきなりそんなこと言うんだよ」

「ねぇねぇこの人が和也君の友達?」

長塚が俺の袖を引っ張って聞いてきた。

「ん? この子たち和也の知り合いか?」

「ああ。クラスメート」

「どうも。和也の親友の本多翔太です」

「吉田真理です」

「和也君と今一番仲のいい長塚有希です」

「………」

「………」

何故だろう?

翔太と長塚の間にピリピリした空気が漂っている気がする。

「俺は和也の心の友と書いて心友だ」

「私は和也君の真の友と書いて真友だよ」

何この展開?

「修羅場ですね!」

「吉田、なんか楽しそうだな…」

「はい!」

吉田がすごく生き生きしてる。

「お前和也は俺のだぞ!」

誰がお前の物になった?

ていうか男に「俺のだぞ」とか言われても気持ち悪いんだけど。

「違うよ! 和也君は私のだもん! それに私と和也君は言葉では言えないような凄い関係なんだから!!」

俺は長塚の物でもない。

それに言葉では言えないような関係って俺たちただのクラスメートなんだけど。

「そ、そんな。和也に彼女ができたなんて…」

地面に両膝を着き項垂れる翔太。

何で言葉では言えない関係が彼女になったんだろう?

「だからもう和也君にあなたは必要ないの。和也君は私に任せなさい」

「ふっ、俺はもう用済みってわけか。和也! 幸せにな!」

翔太は眼の端に涙を浮かべながら走り去って…

「っておい! 勝手に帰ろうとすんな!」

「ぐへっ!!」

俺は翔太の襟首を掴んでやった。

「何なんだお前らはツッコむのも面倒だったから何も言わずにいたら好き勝手言いやがって」

長塚と翔太を睨みながら、

「俺はお前らの物になったつもりはないし、長塚は彼女じゃない。それに俺を任せる、任せないとかお前らは俺の親か何かか?」

「「親友だろ!(でしょ!)」」

「黙れ自称親友」

「まぁまぁ、宮野君落ち着いてください」

「はぁ、もういいや。翔太来たし俺らはもう行くぞ」

「どこに行くんだ?」

ポカンとした顔で翔太が聞いてきた。

「特に決めてないけど。翔太どっか行きたいとことかないのか?」

「ない!」

そっちから誘っといて何も考えてないのかよ…

「じゃあ適当にそこらへんぶらぶらするか?」

「それでいいけどなんかつまんねーな」

「だったら何かしら予定考えとけよ」

「はいはい!」

長塚が元気よく手を挙げてきた。

「何?」

「それなら私たちと一緒に回らない?」

また面倒なことを…

「お、いいじゃんそれ!」

「お前らな…吉田からも何とか言ってくれないか?」

「いいんじゃないですか?」

吉田ならこっちの見方をしてくれると思ったんだけどな…

「三対一で私たちの勝ち!」

「よーし。そうと決まったら…どこ行く?」

「………」

「………」

「おい。まさかお前たちもどこに行くのか決めてなかったのか?」

「ほ、ほらそこら辺を適当にぶらぶらしようかなーって」

俺たちがしようとしてたことと同じだな…

「そうと決まったら元気に行こう!」

ホントに翔太は元気だな。

いや、アホなだけか…

翔太が歩き出したので俺たちもそのあとに続いて歩き始めた。

長塚と翔太の両方を相手にするのはしんどそうだな…

何で今日晴れちゃったんだろう。




今回は少し短くなってしまいました。

なので今週中にはもう一回更新できるようにしようと思います。


感想やアドバイス、誤字・脱字の報告などありましたらよろしくお願いします。

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