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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

スポーツもの?

じいちゃんの白いパワースーツ

作者: 馬 stallion

「どうした?!信一!今日も絶好調じゃないか?っていうかもう別人??」


肩で息を弾ませながら、タカシは流れ出る大量の汗を拭いている。


彼が無作為にとったタオルは僕のものだ。

同じような白地のタオルだったから、間違えられてもしょうがない・・・。

チームの雰囲気も良いし、今さら彼のそそっかしさを責めてもしょうがない・・・。



僕の名前は 信一。

男子バスケットボール県大会準決勝。

僕はそのコートに立っていた・・・背番号は5番。


相手は目下全国3連覇中の超強豪高 私立帝都高校。

下馬評は明らかにこちらの分が悪いのも当然だ。


しかし、スコアは前半終わって45対50と5点のビハインド。


僕らがこんなに善戦しているのにも訳があった。


それは僕が履いているパワースーツだ。

一件見た目は普通の白いスパッツだが、

その機能はとんでもない。


スタミナ、パワー、ジャンプ力、スピード、集中力・・・、

全てが自分の持っている力が倍増する。




確か・・・そう書いてあった。



僕自身も驚いている。

身長173cmにして、人生初のダンクシュートを決めた大会一回戦。


毎回出れば負ける僕らの高校が、つぎつぎと下馬評を覆し、

皆で力を合わせて、全国大会まであと2勝という所まできた。



そうそう、このパワースーツ。

大会二日前に手に入れたものだ。



最新の科学を駆使した?とか何とか書いてあったっけ・・・。



ジョン(犬)の散歩に出ようと思って、玄関で靴を履いていたら、

家の前に黒塗りの高級車が止まった。


そして車から降りてきた黒いスーツの怖そうな男は、

「君のお祖父さんから頼まれたものを持ってきた」とか言ってた。


じいちゃんが留守だったのもあって、とりあえず受取っておいた。


僕のじいちゃんは、農家だ。

何が入っているのかなーって思ったけど。

まさかこんなすごいものだとは。


大体じいちゃんはこれを農業に使うつもりだったのか・・・、もったいない。


でもこのスーツ・・・一つ欠点がある。

そろそろ欠点が出てくる時間だ・・・、ほら・・・。




【注意】

強い衝撃を与えたり、ある一定時間を過ぎると反動で、集中力が酷く散漫になり、精神異常を起こします。






「おい! 信一! 聞いてるのか? ディフェンスから仕掛けるぞ!!!」

そういって、タカシは僕のタオルで耳の裏まで拭いている・・・。


「あ・・・あぁ・・・そうしようか。 このまま逃げ切られたら悔しいもんな。」

・・・タオルも、だ。



大体後半になると、欠点が顔を出す。

準々決勝までは圧倒的リードで逃げ切れたけど、追いかける展開は正直キツイ。



「信一!がんばってぇー!」

黄色い声が場内に響く・・・

あぁ・・・ナツキ!


ナツキは僕の彼女だ。

彼女とはまだ手しか握ったことがないけれど、僕の自慢の彼女だ。




「お守りあげたんだから!絶対勝てるよ!!信ちゃん!!」


お守り???


あ・・・そうだ、貰った。

どこにやったっけな・・・。


ピーーーー!! 

「後半始めます!」

眼鏡の審判が呼んでる、いかなくちゃ・・・。




試合再開。


攻撃は相変わらず、僕にボールが集まってくる。


皆が僕を頼ってくれるのはうれしいし、まだまだパワースーツは健在だ。


素早く動くディフェンスを軽く一人かわし、ゴール下へと突っ込んでいく。


「何度もやらせるか!!」

相手のセンターが目の前に立ちはだかった・・・顔は・・・ゴリラ似だ。




ピーーー!!!

「ファウル!!ディフェンス!!」



痛い・・・痛い・・・さすが全国レベル。パワースーツが無かったらもっと痛かったろうに・・・。

それにしても、体ごとぶつかってきたよ・・・ゴリラ似の彼・・・。


まぁ、いいフリースローだ・・・。


フリースローはパワースーツの状態を確かめるのに最適だ。


きれいに2本入れば正常、

2本ともリングにすら当たらなければ、危険状態だ。




一本目・・・。


シュパッ!!


ッホ・・・きれいに入るじゃん。





二本目・・・。


ガコン!!


!!!外した!!!



これは10段階でいうと危険度5ぐらいか・・・。


うむ・・・一つ気になることがある・・・。

【ムスコ】のポジションだ・・・。


パワースーツは極めてタイトな作りだ。

一度ズレてしまうとそのまま固定されてしまう・・・。


さっきのファウルの時か・・・・ゴリラ人間め・・・。


タカシが間髪入れずに叫ぶ。

「おい!!!切り替えろ!信一!ディフェンスだ!!タイトにつくぞ!!」


ふむ・・・切り替えろ?・・・タイトだと?


タカシ・・・何か感じ取ったのか?

僕のムスコのポジショニングを・・・。



監督が叫んだ!

「気にするな!信一! 外れたっていいんだ! タイトにつけ!!」


あんたも・・・か・・・?。



相手のヘタなシュートはリングに嫌われ、僕はパワースーツのお陰もあって、

ゴール下をパワーで陣取り、ゴリラを蹴散らしながら、リバウンドボールを抑えた。



「いいぞ!!信ちゃーん!!」

ナツキが両手を挙げてよろこんでいるのが見えた・・・が!!!!

隣の背の高いヤロウはだれだ?


ナツキに男友達は居ない・・・。

ましてやスポーツを一緒に観戦するような間柄なんて・・・。

肩が触れ合うぐらい並んで・・・寄り沿うようにこっちを見てる・・・。


監督が叫ぶ。

「いいぞ! ナイスポジションだ!!」



いま・・・俺には二つ気になるポジションがある。

そしてそれは二つとも決してナイスなポジションでは無い!



「5番だ!5番で来るぞ!!」

ゴリラが日本語で叫んでいる・・・。



「こっちだ!信一! 貸せ!!!」


タカシめ、今さら【貸せ】とは何だよ。

勝手に使う人間のくせに・・・。



俺は雑魚どもをヒラリとかわし、ゴリラ退治に向かう。


「なめるな!!!」


またゴリラは俺に襲い掛かってきた。



ピーーーー!!!

バスケットカウント!!ワンスロー!!!


ゴリラの一撃を喰らいながらもボールはリングに吸い込まれ、

フリスローが1本与えられた・・・まぁ当然だ。


「やったぜ!信一! 相手のセンターはこれで退場だ!!」

タカシは、みっともない顔ではしゃいでいる、お前も盗人として退場しろ。


「すごいよ!!信ちゃん!!」

ナツキは・・・男と手を取り合って喜んでいる・・・ッケ!


全国3連覇のゴリラ退治・・・完了っと。



フリースロー・・・。


一本目・・・。


・・・。

・・・。

・・・。







ピー!!!!!

シュッ・・・・・



バイオレーション!!!



リングに当たらねぇ所か、色々気になって5秒以内に撃てなかったぞ・・・。

こんなこと初めてだぜ。




無能な監督がいっちょまえに叫ぶ

「気にするな!信一! 次に決めればいい!!」




当たり前だ・・・誰のお陰でここまでこれたと思ってやがる。




タカシが叫ぶ

「信一!お前は後半に弱いぞ!!こないだの試合だって変だった!

俺が後半調子よくなかったら、負けてたんだからな!!これ以上借りをつくるなよっ!」



ほう・・・盗人(てめぇなんぞがよくもまぁ貸し借りの話ができたもんだ。



そんな俺様の所に相手が仕掛けてきやがった。




「今度はお前を退場にしてやるっ!!」

サル似の選手チビがゴリラの弔い合戦を申し込んできた。




ピーーーー!!!!

ディフェンスファウル!!



なんだと?? 俺の反則だと?

どこに目をつけてやがるこの審判めがね! その眼鏡の度は合ってるのか!!


「アオ 5番 ハッキング!」 注:ハッキング=手を叩くなどの反則。




っふ・・・偉そうに言いやがって。

その眼鏡・・・叩き割ってやろうか・・・。



それにしてもムスコが落ち着かねぇな・・・

これはもうスーツの中に手を入れなくては直せねぇ・・・。


試合中だし・・・

スーツはパッツンパッツンだからよぉ、


豪快に手を入れないと・・・。

さすがに今は・・・マズイな!




・・・ポジションといえば、

ナツキ・・・尻の軽いスケになったもんだ・・・。


あんなモヤシヤロウのどこがいいんだか・・・。

こんな事なら俺がベットリとツバ付けとけばよかったぜ。


ハゲ監督が叫ぶ

「信一!手を出すな!ファウル4つだぞ!」


手を出すなだと・・・?

てめぇに何が分かる!?


大体、手を出すのはてめぇだろうが!生徒によ!!!



小さい選手サルは玉入れがお上手のようで、

ボールをひょいひょいゴールへ入れやがった。



「信一!退場になるなよっ! ここはこのタカシ様に任せろっ!」


ハイハイ・・・タオルを洗濯して返してから言ってくれ、泥棒さんよ・・・。



「信ちゃん! ドンマイ!! やり返しちゃえ!!」

やり返す??ほう・・・女を連れて来てみろとな・・・。

見てやがれっ!!このアバズレがっ!! 金髪パッキンのネーちゃん見せてやるよ!



タカシのグズはこともあろうに、サルどもにボールを奪われやがった。

まるで観光客がサルにカバンをひったくられるように滑稽だぜ。


「すまん!信一! ミスった!!」


この盗人ウスノロが!

大体今さら誤っても、もう遅い。

貴様は俺様のブラックリストに載ったのだ。

そして、二番目はあのナツキをたぶらかしている、モヤシギツネのヤロウだ!!

必ず地獄を見せてやる!!



「信一!! カバーだ!! タカシをフォローしてやれ!!」


ックックック・・・ハゲ親父・・・。

笑わせる・・・。

この俺様に尻拭いをしろだと?

いっぺん死ぬか・・・ゴルァァァァァァァ!!!!!





「今度こそお前も退場だ!!」

低脳なサルどもが、臭い息を吐きながら、貢物ボールを献上にキタゼェェェ!!!!






「ヒャッホーーーー!!!! 死にやがれぇぇぇぇぇっ!!!!」




「ぐはっ?!」





サルの喉元めがけ、鍛えぬかれし俺様の右腕が空を切るゅぅぅぅううううっ!!!

殺ったか?!







ピーーーーー!!!!

ディフェンスファウル!!!!!





その惨めな姿で床に這い蹲る姿は芋虫同然だ・・・フッフッフ。

お似合いだ・・・貴様の最後には相応しい。



「アオ 5番 退場!!!」




なにっ?!退場だと!!!


貴様、その眼鏡は何のためにある!!!

世を葬り去ろうなど100年早いわっ!!!



「はやくコートから出なさい!!!」




貴様こそ表へ出ろ・・・目にものみせてくれようぞ・・・。



「信一!! 何やってんだ!! ・・・・退場になっちまうなんて・・・負けちまう」


ほう・・・・貴様もグルか・・・世を葬り去ろうとするか・・・。



「信一! ベンチに戻れ!!! 」


ほう・・・そのハゲた愚民は世を、暗黒界へ戻したいらしいな・・・。



いいだろう・・・・全てはこれからだ!

我が暗黒パワーによる恐怖の世界の始まりだ!!!


ムシケラ共よ・・・覚悟しろ・・・

アッハッハッハッハ!!!!!





ダッタッタッタ・・・・





ん?

なんだ・・・・歩きにくい・・・。

ふん! 我がムスコが邪魔をしておるか!


どれどれ。


フン!!!




ん???

なんだ・・・・



なんだ・・・


この・・・



御守りは・・・・・!!!!



ウギャァァァァッァァァッァァァー!!!!!
































「信ちゃん!!信ちゃん!!!」


・・・ナ・・・ツ・・・キ?


「大丈夫?信ちゃん!!」


あ・・・あぁ・・・ええ・・・っと。





「おつかれさまっ! はい! タオル!!! 御守り持っててくれたんだねっ」


ここは・・・どこだ? 俺は何してたんだ??

試合・・・試合はどうなったんだ?






そうか・・・そうだ・・・。

精神異常が来たのか・・・。

恐ろしいな・・・パワースーツ・・・。

なんか悪魔になった気分だったぞ・・・。





「残念だったね・・・。でも信ちゃんカッコよかったよ!」


ナツキ・・・でもお前・・・他に男ができたんじゃ・・・。



「あ・・・紹介するね。 この子は弟のジュンです!」

「始めまして、信一さん! いつも姉がお世話になってます!」




あ・・・そうか・・・そうだよね・・・うん。




「すまん!信一!タオル間違って使ってた!」


・・・いいんだ、別に気にしていない。


「惜しかったな、信一・・・。監督としてお前を誇りに思う。」


・・・監督ハゲ






「信一!信一やーーー!!」


じいちゃん?


「お前! ワシのモモヒキ勝手に履きよってからに! ぢゃから負けるんじゃ!」



じいちゃん・・・いつもこんなの履いてたんだ・・・・。



「じいちゃん!! これ・・・パワースーツじゃないの??」




「なんのことじゃ??  パール・・スーツ??いつまで寝ぼけた事をいっておるんじゃ!!!」




「だって・・・最新の科学を駆使して作られた・・・」




「そんなもんワシは知らんぞ! じゃが、それはずーっと昔からワシが買っておるモモヒキじゃ!

勝手に盗みよって!!! この泥棒が!!」




なんで・・・。


でも待てよ・・・だからじいちゃん・・・あんな辛い農作業も80歳を超えた今でもやれるんだ・・・。


でも・・・



「でも、じいちゃん! 頼まれたものを持ってきたって怖そうなおじさんが・・・」


そうだ! どこで買うんだよ・・・じいちゃん!こんな物!



「いつまでもウジウジ言うな!!このイタズラ坊主め!!! こうしてくれるわ!!」


じいちゃんは鬼の形相で持っている杖をふりかざした。


「この泥棒め! 犯罪者め!! 一族の恥じゃ!!! 思い知れええええ!!」





「痛い・・・痛いよ! じいちゃん!ご・・ごめんなさい」






痛く・・・ないが・・・、じいちゃんはすごい勢いで怒鳴るし叩く。

じいちゃん、すごい迫力だ・・・・。









も・・・もしかして・・・







じいちゃんも・・・・。








「痛い!痛いよ!もう!・・・じいちゃん!同じモモヒキ今、・・・・履いてるの??」






全然痛くない、スーツを履いて・・・この威力?



じいちゃん・・・体・・・大丈夫??







「黙れぇぇぇえぇっ!!! この小童こわっぱがあぁぁあぁぁっ!!!! シネェェェ!!!!」
















最後まで長々と読んでいただき、ありがとうございました。


バスケの小説が書きたかったのですが、

思いも因らないものになってしまいました。


よろしければ感想など頂ければ幸いです。




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