懺悔に心を奪われて
掲載日:2026/08/29
とある
月のとても綺麗な夜
煌煌と照らされる窓辺の明るさを
清らかな悲しみと喩える君の
私の心が泣きそうになる
暗い懺悔の嗚咽のような細い声を聴いた
生きて来たことを呪い
犯した罪を悔やみ
やはりそれでも生きてはゆくのだと
切り替えることもできずに
幽かな微笑みを浮かべる方法だけ覚えて
そうして生きてゆくのだと
天を仰ぎみた瞳に
けれども涙を浮かべることだけは頑なに禁じ
なんどもなんども卒業して来たけれど
何処へも行き着けはしなかった嗅覚だけ磨き
おおきな黒い怪鳥が
目のまえの電柱のうえを飛び廻るとき
その化粧の匂いを鋭く嗅ごうとする
君のからだの半分は
あきらかにやさしさでできている
とある夜
夜の底
悲しいふたりは肌かさね
心を失くした さぁ 月よ 照れ




