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『狸の金八とプレスマン』

作者: 成城速記部
掲載日:2026/07/01

 あるところに、狸の金八と呼ばれる狸がいました。金が八畳敷きだから、そのように呼ばれていたようです。後輩に、仙台から来た仙八とか、新米の新八がいるかどうかは知りません。

 狸の金八は、歌やお芝居が得意で、村の人たちを楽しませていました。もちろん、ただで、というわけにはいかず、村の人たちがそのとき持っている食べ物を失敬するようなことはちょいちょいでしたが、村人たちは、楽しませてもらったことと引きかえでしたので、恨みに思うものなど一人もいませんでした。

 この日も、町の文房具屋さんが、村の庄屋様に届け物をした帰りに、刈り入れが終わった後の田んぼで学園もののお芝居をしている金八を見かけ、しばらく見ていたのですが、狸という字は狸と狸が支え合っている形をしている、とか、私たちはたぬきうどんをつくっているんじゃない狸をつくっているんです、とか、よくわからないことを言うので、飽きてしまい、違う出し物をしてくれ、と叫んでみましたが、聞き入れてもらえず、帰ろうと思って立ち上がると、商売物のプレスマンがなくなっていました。



教訓:わからない人はわからなくていい。

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― 新着の感想 ―
昔話めいた「狸の金八」と、実用品のプレスマンを並べる発想がまず愉快でした。狸に化かされるような語り口と、宝物のように扱われる筆記具の取り合わせに、作者らしい遊び心があり、肩の力を抜いて楽しめました。
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