七、行列
行列は駅から商店街を通って進んで行く。何かの祭事とでも思ったのか、興味深そうな視線を向ける通行人もいたが、大半は邪魔そうに避けるだけだった。
行列の大半は普段着の若者だったが、異質な者も混じっていることに鷹丸は気づいた。例えば自分の斜め後ろ辺りを進んでいるのは、巨漢の大竹より更に大きい、黒い影のような異形だ。人型はしているが、角が何本も生え腕は四本あるし、目も四つあって赤く光っている。獣相の者もちらほら見られるし、フーテンや不健康そうな人々の中に、具足であったり、強化外骨格を纏った明らかな戦闘員もいる。スーツや直垂の者もいるし、どうやら〈八海〉所属のような雰囲気の人もいた。例えば稽古着を纏った蓬莱廟の修行僧や、銀の鎧に身を包む教会の聖騎士、公団の胡散臭い華美な僧服を纏った信徒。だが、そのいずれも今は帯刀しているのだった。
「何処まで行くつもり?」周囲を観察する鷹丸に、そんな声がかかった。斜め前にいた、小柄な少女だった。彼女も有角で、黒袴を穿いており、刀を二本差していた。片方は今朝配られたものだろうが、もう一振りは持参したのだろうか。あるいは、二本受け取ったのか。
鷹丸は、行ける所まで付いて行く、どうせ暇だし、と答える。




