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六十二、合戦

 繰り広げられる剣戟を見て、鷹丸は他人事の様に、大変だな、混み合ってる歩行者天国みたいだな、などということを思い浮かべていた。もちろん大抵の歩行者天国とは違い、血と肉片と怒声と悲鳴が飛び交う空間。前に機械人形と戦ったあとも結局、脱落者は出なかったと思うし、今回もきっと大丈夫だろう。雄たけびを上げて、数人がまとめて吹っ飛んでいく。隊士までも巻き込んでの爆発。刀を使わずに素手で殴り合う集団。呪詛でドロドロに溶けていく悪漢。


 鷹丸は、近づいて来た野盗たちをただ無心で斬っていた。手ごたえはあまりない。いい刀だ、と思った。無茶苦茶な化け物から作られた武器なのだから、もっと無茶苦茶な性能だと思ったが、自分は未だ侍としても髐羸としても未熟なのだろう。いずれ、この刀も成長するはずだ。


 敵を一通り倒して周囲をよく見ると、隊士たちには岩手など、とにかく敵を打破するのだという闘志に満ちている人もいたが、だるそうに、近くに来た盗賊のみと申し訳程度に切り結ぶ者も多かった。やる気のある者たちが、一人で何体も狩って回っている。襲撃者の数が減り、戦闘も落ち着いて来た。


「どうだ鷹丸、臓腑の跳躍は! 手にした呪具を初めて振るうのは、目が覚める光であろう!」


 聖槍を振り回しながら、近づいて来た岩手が大音声で問うた。鷹丸は曖昧に頷く。

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