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六、出立

「それではこれより、刀を配る。一人ずつこちらへ来るのだ」


 大竹は傍らに置いてあった葛籠(つづら)に手を入れ、中から刀を取り出す。さほど大きくないのに、何本も出てくる。それを一人ずつに、何か言いながら渡している。鷹丸の番が来て、それを受け取った。武器には詳しくないが、かなり立派なものに思えた。


「学び舎で学べなかったものを、この旅で学ぶのだ、鷹丸よ」


 大竹がそう言うが、もちろんまだ名乗ってなどいない。事前に身辺調査をしているのだろうか? いや、鷹丸が参加を決めたのは今朝だ。この集団の長として、刀を授けた時点で、参加者のことが把握できるようになったのだろうか? だとすれば大竹はやはり、何らかの異相体の影響下にある、今となっては自分も。鷹丸は刀と共に渡された剣帯を腰に装着し、刀を差した。まさか自分が、こんな良く分からない目的の集団とはいえ日塚の侍になるとは、昨日まで予想もしていなかったことだ。


 しかし、暇潰しにはちょうどいいかも知れない。周囲の人々が歩き出した。漫然と形作られた行列の、真ん中から少し後ろの位置を鷹丸は歩き始める。大竹の声が聞こえた。


「高貴なるお方のため、鬼神のごとく戦うのだ! 我らは百の鬼、百鬼隊である!」

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