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四、神骸教会前駅
神骸教会は〈八海〉の一つで、食料供給と再生医療を担う宗教企業である。その根源にあるのは異形のバイオ技術で、地神からの恵みと称して、得体の知れない肉や植物が日々大量に供給されている。部隊の待ち合わせ場所となった駅の目の前でも、公開調理と称して、神官や聖騎士、この地区の聖女とやらが巨大な肉を切り分け焼いて、人々に配っている。鷹丸もまた、そこで朝食を済ませた。
駅の方にはそれらしい目印は特になく、たむろしている人々に片っ端から声をかけてみた。オフ会だったり、異相体破壊作戦の従事者だったり、何かの新興宗教の集会だったりした。そんな中で一際、どんよりとした雰囲気の者たちに行きついたが、それが大竹の募集に応じて、この集団のために来た人々だった。
彼らのほとんどは、鷹丸と同じく家でぶらぶらしている無職や、現状に何らかの不満があってそこから逃亡しようと考えている人たちらしかった。やがて、この覇気のない集団は百人くらいに膨れ上がり、そこで主催者大竹が姿を現した。




