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十一、岩手

 その次は岩手という聖騎士で、彼女は神骸教会に多い、西バルビア人の血が入った明るい金髪と長躯の持ち主だった。大竹から託されたのは、華美な装飾の施された、白いサーベル型の刀だったが、自分の武器はこれに他ならぬ、と、背中に背負っていた何かを掲げて見せた。


 彼女が〈聖槍〉と呼ぶそれは、黒ずんだ布で撒かれた、呪具らしき代物だった。正式に呪術師の資格を持たない者が、単純所持を許される程度は超えていないのだろうか。また、人への呪害は発生しないのか。やはり鷹丸は多少気になった。とはいえ、陰陽師であるという四郎が何も言わないので、危険はないのだろうと判断した。


 そもそも、岩手は教会を正式に脱退してここにいるのか、それとも任務中に脱走して来たのか、それも不明だった。しかし、彼女にわざわざそれを確認するのも面倒だし、他の誰かが尋ねるだろうと鷹丸は静観したところ、誰もそうしなかったので、不明なままだった。


 岩手は、もし、敵性異相体が出現したなら我が真っ先に抹殺する、と請け負ったので、その点では心強かった。

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