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怪物たちの再三たる事件簿  作者: 白川ちさと
時からの便り編

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33/72

33. 巻き戻り四回目~



 巻き戻り四回目。アイスキャンディーはまた当たりだった。


 とにかく、目につくトラブルを片っ端から解決していくことにした。


 横断歩道でまごまごしているお年寄りのために、車を停める。


 煙草をポイ捨てした男を入念に注意する。


 スーパーの前で商品を倒してしまった子供を手伝う。


 ただし、時間は巻き戻る。







 巻き戻り八回目。


 初心に帰って、子供たちを助ける。今度は見えないところで。


 子供たちには関わらないようにして公園に行き、影に潜る。犬のコロ助が茂みに寄って来たところ足を掴んで固定する。暴れはしたが、すぐに一人の子供がやって来て捕まえた。


 ただし、時間は巻き戻る。






 巻き戻り二十三回目。


 何度ケーキの残骸とクリームのシャワーを浴びたことか。しかし、何とか水木がひっくり返すケーキを受け止めることに成功した。


 すぐに仁良を呼び出し、パーティーの準備を始める。気の利いた誕生日プレゼントとして、鈴華の好きな花を生けるための花瓶をプレゼントとして用意した。料理も仁良に用意させる。完璧な誕生日パーティーが始まる。


 ――はずだったが、時間は巻き戻った。







 巻き戻り三十三回目。


 あらゆることを試したが、全てが元に戻る。万策尽きたとはこのとこだろう。


「そもそも、何も起きていないだろうが」


 コンビニの前で座り込み、三十四本目のアイスキャンディーに食らいつく。十秒もあれば完食できるようになった。当たりだ。


 次はどうしようか。しかし、やたら滅多に動いてもどうにもならないことは、この前の三十三回の巻き戻りで十二分に分かっていた。


 それとも何か見落としているのだろうか。目の前には子供たちが走っていき、奥の車道を車が走っていく。


 コンビニの前にはポストがあり、郵便局の車がやって来て手紙を回収していく。その郵便局員にも、何度か変わったことはないかと話しかけている。不審がられるばかりで特に何もない。


 汗がまた一筋背中を伝う。


「もう、このクソ暑い時間から脱出することは出来ないのか……」


 煙草でも持っていたら、煙を肺一杯に吸い込んでこの無駄な巻き戻りへの苛立ちを全て煙と一緒に吐き出していただろう。


 だが、手にしているのはアイスキャンディーの当たりくじ。昔人々が倣うように吸っていた煙草は吸える場所が少なくなったので辞めた。


 そうして、ぼんやりと意味もなく空でも見上げようかと思ったときだ。数メートル斜め前にある郵便局の車が走り去る。


「ん?」


 何かが舞い上がった。最初は木の葉か何かかと思った。だが、初夏のこの時期に枯れ葉はほとんど落ちていない。


 あれは――


「手紙だ!」


 一枚の封筒が突風に舞い上がって車道に落ちていく。備吾は立ち上がった。トートバックを肩にかけ、全速力で走る。


「これやる」


 途中、男児が転んでしゃがみこんでいるので、アイスキャンディーの当たりを投げておいた。男児は驚いて泣きやんだ。


 車道に入ろうとするが、横から車が走って来た。轢かれたところでどうと言うことはないが、さすがに騒動になるだろう。一時停止する。


「あ!」


 手紙は轢かれなかったが、風に舞い上がって反対側の歩道へと向かう。





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