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警報

 ラフィの指がレブの銃に触れた瞬間、塔内の空気が一変した。

 赤い警告灯が一斉に点滅し、甲高いサイレンが響き渡る。


『警報発令。セキュリティレベル最大。』


 MUSE の冷静な声が耳に流れるのと同時に、これまで流れていた重いベースリフが消える。

 刹那の静寂を破るように、軽快なギターリフが炸裂した。


「タッタララララ〜ン、タッタララララ〜ン!」


『楽曲変更――『Are You Gonna Be My Girl』再生。』


「Go!」

 音楽の掛け声がサイレンと重なる。

 ラフィは即座にグレネードをピンごと回し取り、腰をひねって後方の壁に反射させるように投げる。


 跳ねたグレネードが敵兵たちの足元で転がり、爆発。

 爆風が煙と火花を撒き散らし、武器庫の空気が震える。


『敵兵三名、行動不能。』


 煙の隙間から飛び出してきた敵兵が銃を構える。

 だがラフィはすでに動いていた。

 鉄製の武器台を蹴り上げ、空中でひと回転して視界の高低差を変える。


 敵兵が銃口を上げるより早く、ラフィは重力を利用してショットガンを構え――


 ズドン!


 至近距離で撃ち抜かれた兵士の身体が弾けるように倒れる。

 着地と同時にラフィは床を蹴り、流れるように次の敵兵の懐へと滑り込んだ。


 敵兵が反射的に発砲するが、ラフィは身を沈めたまま前転し、その勢いで足払いをかける。

 崩れ落ちる敵の手から銃が滑り落ちると、ラフィは空中で腰をひねりながらショットガンを敵の顔面に突きつけた。


 ズドン!


 吹き飛ぶ兵士。

 同時に、左側の柱の陰から別の兵士が飛び出す。


『左側、敵接近。距離4メートル。』


「もう分かってるわ!」


 ラフィは柱を蹴って側宙し、空中で身体を半回転させながらグレネードのピンを引き抜く。

 敵兵の頭上に投げつけると、爆風でさらに跳躍。

 まるで爆風を足場にするように空中を舞い、踵で敵の頭を蹴りつけた。


 倒れ込む敵を踏みつけるように着地し、即座に銃身を振る。


 ズドン!


『増援確認。通路からさらに三名。』


 ラフィは床に転がる金属製の飾り盾を拾い上げ、敵兵の銃弾を弾きながら前進する。

 盾越しにショットガンの銃口を敵に向け――


 ズドン!


 爆風で盾ごと吹き飛ぶが、ラフィは跳ねた盾を踏み台に使い、空中で身体をひねって次の敵兵の背後に回り込む。


 背後から押し当てた銃口が冷たく敵の首筋に触れる。


「おやすみなさい。」


 ズドン!


 敵兵が沈む。


 武器庫の外からも足音と怒声が押し寄せてくる。

 ラフィは息を切らさず、薬室に滑らかに新しい弾を送り込む。


『敵幹部、接近中。接触まで残り30秒。』


「ちょうど温まってきたところよ!」


 にやりと笑い、ラフィはさらに床に転がる装飾用のスピアを掴む。

 柄を振り抜きながら敵の銃を弾き飛ばし、回転するように跳ね上がって頭上からショットガンを撃ち下ろす。


 ズドン!


 音楽はサビに差し掛かる。

 ラフィの動きと完全にシンクロしながら、戦場がまるでダンスフロアのように熱を帯びていく。


 ーー Are you gonna be my girl!


 その歌声に合わせてラフィは最後の敵兵の喉元を狙い撃つ。


 ズドン!

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