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第3話


 「キャッチボールしよう」



 確か、小学3年生の頃だった。


 初めて会った僕に、彼女はそう言った。


 雲がかかった空を指さして、


 “雨が止んだら”


 ——そう言った。



 止むはずがないと思った。


 天気予報では、雨は明日の朝まで続く見込みだった。


 海は荒れ、風は強くなる一方だった。


 第一、キャッチボールなんて…



 彼女の提案に乗り気じゃなかったのは、天気が悪いっていうだけが理由じゃなかった。


 キャッチボールなんて、今までやったことはなかった。


 ボールの投げ方もわからなかった。


 グローブだって持ってない。


 それに“気分”じゃなかった。


 だから断ったんだ。


 家に帰るからって、駅舎にある古臭い時計を見ながら。



 「傘は?」


 「持ってない」


 「雨が止むのを待っとるんやろ?生憎、今日は止まんで?」


 「もうちょっとしたら迎えにくるから」


 「誰が?」


 「お母さんが」



 学校から抜け出したことを、母親には伝えていた。


 駅にいるからと、ラインを送っていた。


 学校から駆け足で駅まで来ていたが、さすがに家までは遠かった。


 『すぐに迎えにいくから』


 母親からの返信は、駅に着いてから数十分が経った頃だった。


 母親が仕事中であることは知っていた。


 だからしばらくは、ここで待つ気でいた。




 

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