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第1話



 僕にはわからなかった。


 彼女が空を見上げる理由が。



 「明日天気が晴れたら」



 そう、彼女は話す。


 飾り気のない笑顔で、海が見える場所まで行こうと言った。


 瀬戸内海の海。


 僕たちが住んでいる、街の丘の向こうへ。



 「もし私が死んだら、骨は海に撒いてな?」


 「縁起でもないこと言うなや」


 「仮にの話や」


 「仮にもクソもあらへん。そんな話聞きたないわ」


 「心配してくれとるんや?」


 「当たり前や!」



 彼女はいつも気丈に振る舞ってた。


 彼女らしいと言えば、彼女らしい。


 子供の頃からだ。


 どんなことにも前向きで、まっすぐ何かを追いかけて。


 僕はいつも、彼女の背中を追いかけてた。


 向こう見ずなその姿に惹かれ、彼女みたいになりたいと思った。



 「甲子園」に行く。



 その夢を思い描いたのは、夏の季節の下、サンダルを脱ぎ捨て、裸足で海岸を走る彼女の後ろを姿を見た時だった。


 僕は彼女の後ろ姿に、雲ひとつない空の青さを見た。


 



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