表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/34

第10話



 ザァ


 ザザザ


 ザァーーー




 波の遠音が響いてくる。


 大阪湾の港が、はるか遠方に見える。


 この場所、この風景。


 明石海峡大橋の背の高い鉄塔が、広大な空の下に聳えていた。


 淡路島と明石市の間では、潮の流れが一段に速く、それでいてゆったりとした縞模様を伸ばしていた。


 僕たちはいつも、海の近くにいた。


 水平線を指差して、まだ見たこともない景色を探そうとして、白い砂浜の上を歩いていた。

 



 僕は彼女の背中を見て、いつか彼女みたいになりたいと思った。


 彼女みたいに、速く走りたいと思った。


 突拍子もない理由だった。


 それは、——たぶん、きっとそうだ。


 何故かそう思えたんだ。


 いつの日か、彼女の投げるストレートを打ちたい。


 大した理由は、そこにはないのかもしれない。


 だけど大切な何かが、そこにはあった。


 追いかけたい何かが、日常のすぐそばにあった。



 真夏のサイレンと白球。


 その、——すぐそばに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ