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先輩  作者: まんじゅう
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先輩

 胸がうるさいぐらい高鳴る。このまま死んでしまうかもしれないと思うぐらい。呼吸が荒くなる。でも、頑張らないと。ずっと自分なんかには声が届かないと思っていた人が目の前にいる。声が届く。逃げないで、言わないといけない。

「先輩…!」

 ――――――――――――――――――――――――――――

 春、入学の季節。鳥は歌い、桜は咲き誇り、この世界の全てが子供たちの入学や進級を祝っているように感じてしまう。そんなキラッキラした雰囲気の中、1人静かに教室へ向かう。人と話すなんて面倒極まりないのに、なんで周りはあんなに楽しそうなんだろう?不思議で仕方ないや。まぁ、そんなこと考えても仕方ない。教室で本でも読もうと、愛用のヘッドホンをつけて早足で進む。

あーやっと着いた。そこまで距離はないのに疲労感が半端ない。さぁ、ゆっくり本でも…

「おっ(かおる)じゃーん。早いねぇおはよー。」

「…おはよう、笑凪(えな)。」

この子は中学の同級生の中村笑凪。いつも明るくてニコニコ笑顔ないい子。とは言え今は朝だよ?なぜそんな満面の笑みで挨拶できんの?こちとらついていけませんが??そんな気持ちはしまい込んで笑顔を作る。愛想笑いにも慣れたものだ。

「もー今日からうちら高一だね。なんか実感湧かないなぁ!」

「笑凪、間違えて中学行かなかった?」

「行かなかったよー!ちゃんと真っ直ぐこっち来た!」

「あはは。そっか。ごめんごめん。」

「もーいっつもそんなことばっか言ってさー…。」

「笑凪ーちょっといいー?」

「あっはーい。じゃーね、薫!」

…ふぅ、落ち着いた。笑凪は本当にいい子なんだけど、やっぱあのテンションはきついときあるなぁ。それにしても、さっき笑凪を呼んだ子中学で見たことない。もう友達作ったのかあのコミュ力おばけ。

まぁ、そんなことは置いておこう。さぁ本を…

「皆さん、入学おめでとうございます。初ホームルームを始めましょう。」

…タイミング悪。なぜ今なんやこら。仕方ない、本はしまうか。

「皆さんすぐに話を聞く態度になれて偉いですねぇ。」

何歳だと思ってんだよ。

「では初めに。私はこの1年2組の担任、そして国語教諭を務める宮下祐希(みやしたゆうき)と申します。気軽にゆっきーとでも呼んでくださいね!」

高校初日に先生をあだ名で呼ぶ人なんているかアホ。

「ゆっきー!よろしくね!!」

いたわ、アホ。

「元気な挨拶ありがとうございますね、七瀬遙(ななせはるか)さん。こちらこそ1年間どうぞよろしくお願いします!それでは入学式の諸連絡をしていきます。…」


――――――――――――――――――――――――――――

あぁ疲れた。本当に疲れた。なぜ校長先生はあんなに話が長いんだ。てか来賓の話とか絶対いらんだろ何のためにあるんだよあれ。という感じで入学式は無事に終わった。早く帰りたい。

「では、次に教科書の配布と諸々の資料への記入、そして自己紹介もしましょうか!」

帰りたい……。


――――――――――――――――――――――――――――

「それでは皆さんお疲れ様でした。また明日会いましょうね。さようなら。」

やっと…解放された…!本当に長い長い時間だったなあ。早く家帰ってゲームゲームゲーム!

自転車登校だが、幸いにも学校から家までの道のりは下り坂が多いので(つまり家から学校までは上り坂が多いのだが…。)下校はそこまで苦ではない。というか、道中には静かで落ち着ける秘密基地みたいな場所があるからなんなら好きまである。

「…久しぶりに行ってみるか。」


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