勇者パーティからの追放
『アーレス、君にはパーティを抜けてもらう』
勇者からの戦力外通告だ。
『ハッキリ言おう。もう貴方は足手まといだ。』
勇者の冷酷なセリフと瞳が俺に突き刺さった。
その瞳からはハッキリと力強い拒絶を感じ取ることが出来た。
もう俺の事を共に歩む仲間とは見ていない。そんな瞳だ。
『アーレス、アナタは賢者と呼ばれているのですよね?』
『あ、あぁ…』
俺はわずかに擁護されることを期待しながら魔法使いに返事をした。
だが彼女から告げられたのは侮辱の言葉だった。
『アナタは賢者という呼び名にふさわしくないわ。街で大人しくしていて』
かつては教わる側だった年端も行かぬ少女に罵倒され俺の自尊心は激しく傷つけられた。
そして王女からのトドメの一言だ。
『魔王を討伐した暁には盛大なパーティを開きます。
そこで改めて貴方に大切なお話があります。
今まで御苦労さまでした。』
大切な話というのは俺との婚約解消、そして勇者との婚約だろう。
愛した女性に三下り半をつけられた俺は言葉を失った。
『僕らは魔王なんかには負けないよ。
必ず生きて帰るさ。
ふふふっ、また会う時を楽しみにしているよ。賢者アーレス』
言葉を失った俺にイヤミを言い放つと勇者たちは笑いながら去っていった。
それが俺が見た勇者達を見た最後の姿だ。
その後、見事魔王を討伐した勇者達は国民達から大々的に歓迎を以って迎え入れられた。
勇者達は俺にした仕打ちを語る事はなかった。
賢者アーレスは話し合いの末に納得して別れたと語ったのだ。
国民達はみんな騙されているのだ。
俺は彼らの本性を暴かねばならない。
それは個人的な恨みだけではない。
せっかく魔王を討伐しても彼らが本性を現し第2の魔王となっては意味がないのだ。
だが俺一人が正面から戦っても敗北は必至だ。
そこで勇者達と別れた後、俺は勇者と戦うための仲間を作ることに奔走した。