9、10月−19 目をみたら持っていかれる
タイトルに意味はありません。
「最初はここか。」
一番最初は新聞部。ここはスクラップ記事の展示と言っていたから大丈夫だろ。
「失礼します。」
「こんにちは、生徒会のみなさん。」
いきなり登場新聞部。
「私が代表の水口 日香理です。」
こりゃまた礼儀正しいお嬢さんだ。
「こちらが展示品です。」
見た限りは問題ない。開明高校の足跡や活動の書いてある記事をスクラップにして置いてあるだけである。
「よし、OKだ。」
一応他のところも確認してみたが誰かがケガをする要素は見つからなかったし、検挙する必要があるところもなかった。
「ねえ、ゼロ。」
そんなことを考えてるとメエが話しかけてきた。
「なんとなく、なんとなくだよ。ここが何か隠している気がするんだけど。」
「それは誤解です。」
俺が答えるより先に水口さんが答えた。
「私たちの部活はこんな部活ですから他人の不利になる情報を持っています。しかし、それは隠しているのではなく、誰かのために隠すしかないのです。それで不快を与えてしまったのなら謝ります。」
「い、いや、こっちこそ、ごめんなさい。」
なぜかメエが謝るような形でなぜか終結した。
「さて、次に行くぞ。」
メエを先に教室から出した。
「……あんたらに言っておくことがある。」
出る前に言っておかないといけない。
「何ですか?」
「何で俺ら、とりわけ俺が情報の強制開示権を使わないかわかるか?」
情報の強制開示権。生徒会には各部活、とくにメディア系の部活に対して持っている情報を提示させることができる。元々は生徒会や特定の団体に不利がこうむらないためのものだったが今では生徒会の知らない情報を手に入れるためのものとなってしまった。
「それは個人に不利な情報を抑えるために……」
「俺はそんなことは気にしない。」
その言葉で押し黙ってしまった。
「答えはお前らの情報が俺にとって無価値だからだ。」
「無価値?」
「お前らは自分たちの情報収集能力が一番だと思っているみたいだがそれはおごりだ。勘違いだ。間違いだ。」
「な……」
表情が凍りついた。
「な、何を根拠に……」
「ここに来るまでにあった3つの隠しカメラだが、あんなお粗末なものでよく隠してるな。ついでにそこにある偽物の壁はよく出来ているが、壁を叩いたら違う音がした。もし誰かがぶつかったらばれるかもな。」
「な、な……」
ここまで言われてもう言えることがないらしい。
「では、いい学園祭にしましょうね。」
俺はそう言い残して出ていった。
「遅いよ!」
出たら目の前、というか眼下にメエがいた。
「ちょっと気になったところがあってな。それを説明してた。」
決してうそではない。ただ、ちょっと言い方を変えただけだ。
「そっか。それなら許すけど次からはちゃんと言ってからしてね。」
「わかった。」
「じゃあ次に出発!!」
「うおっ!」
いつの間にハルさんは後ろに回り込んだんだ?この人はときどき超人か何かじゃないかと錯覚させられるな。