9、10月−18 まさかのここで本気
「すみません、無理を言って。」
「いや、かまわない。」
学園祭前日、みんな忙しいのはわかっているがマジさん、メエ、榊にきてもらった。
「なになに?」
「これから各クラス、部活の完成品のチェックを行う。」
1週間前からのチェックは原則1団体1回までとする代わりに前日に全ての団体を見て回ることを約束した。
「そういうわけなんでマジさんと榊はクラスのほうを見て回ってください。俺とメエは部活のほうを回ります。」
「部活のほうが多いが大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。こっちのクラスにはラブがいますし、メエは暇ですから。」
「うん!なぜかクラスのみんなから行っていいよって言われたから。」
そりゃあ前日に壊されたらさすがに修復不可能だろうしな。
「というわけで急ぎましょう。あまり時間がかかってもいいことないですし。」
メエと最初に向かったのはグラウンド。ここではいくつかの運動部がやることになっている。
やる内容は野球部がストラッ○アウト、サッカー部がキック○ーゲット、バスケ部がナイン○ープなどなど……
「なかなか斬新……」
「そのリアクション飽きたよ。」
……メエにつっこまれてしまった。
「グラウンドを使うやつらは問題なさそうだな。」
「そうだね。」
しかしよかった。いまさらだが本当によかった。なんせ今回はメエのみだからだ。前回はハルさんの処理もあってかなり疲れたがメエだけならばなんとかなる。天然ボケは早々にツッコミで潰せば問題ないからな。
「じゃあ次は文化部棟か。」
「そうだね。」
「早くしないと日が暮れちゃうよー!」
……あれ?さっきメエ以外の声が聞こえた気がしたような?一応、確認で振り向いてみようか。
そう思って後ろを見るとそこにはハルさんだけ。
「あれ!?メエは!?」
「ここにいる!!」
ん?ああ。視界から見切れていたのか。
「それじゃあさっさと行くぞ。」
「ちょい待ち。」
「……」
「なんでハルちゃんをスルーしようとしてるのかな?」
スルー作戦失敗。こうなったら完全放置で……
「メエちゃん、ゼロの腕に飛び付くんだ!」
「わかった。とう!!」
「はい、チーズ。」
パシャッ!
「さあ、この写真をばらまかれたくなかったら私を連れていけ。」
「どんだけの手際のよさですか!?こっちは何か考える暇もなかったですよ!?」
というかメエも言うことききすぎだろ。
「さあ、私を連れていかなかったら……」
「つきあってる、とでも言いふらすんですか?それくらいならなんとでも……」
「ゼロとメエちゃんは兄妹だと言いふらす!!」
「なんという予想外!」
そんなうそ誰が信じるんだ?まあ、メエなら実は飛級だと言われても納得……バカって飛級できるのか?
「私を連れていかなければ明日にはゼロはシスコンだぞ。」
「たしかに恐怖ですね。」
しかしそんなうそ誰が信じるんだ?
「てか、メエはそろそろ離れてくれ。」
「いやだよ!」
?なんかメエの様子がいつもと違うような……
「お兄ちゃんはボクと離れたいの?」
「……」
ピーン!(←録音終了の音)
「さあ!この音声を流されたくなかったら私を……」
「どんだけメエに仕込んでるんですか!?」
「メエに仕込んでいいのは俺だけだってこと!?」
「超曲解!!90度を通り越して270度ぐらいの曲がりですよね!?」
「ゼロ、何を仕込んでくれるの?」
ピーン!
「さあ!この音声を……」
「わかりましたよ!!ついてきたいならついてきてください!!」
「やった!!さすがゼロ!!」
もうどうにでもなってくれ。
「じゃあ早速レッツ……」
「待ってください、ハルさん。」
「なに?」
「さっきのデータを消してください。消さないなら携帯を叩き割ります。」
「…………」
「…………」
「……冗談だよね?」
「冗談に聞こえますか?(ニコッ)」
「わ、わかりました。」
ハルさんはすぐさまデータを消してくれた。これで問題なしだな。
「ところでゼロは何を仕込むの?」
「そっちは素なのか。」




