9、10月−17 誰だ!?こんな長い説明を入れたのは!?……俺か。
説明過多および読む気失せる警報発令中。
この学校の学園祭は生徒主体で動くこととなっている。そのせいか生徒会はいろんな権利をもっている。
例えば禁止店の閉鎖要求。これは学園祭をしている間に禁止行為を行っている店を改善するまで閉店を要求できる。もちろん問題なしとなったらすぐにでも再開していい。
他には著作物チェックと違反行為による中止要求。これは演劇などで発生するもので、完成した道具と脚本のチェックを前日までに受けないといけなく、さらに当日に違反が見つかった場合は強制的に中止させることができる。
こんなかんじなのがいろいろとあるが全て生徒会の主観で決定されるので生徒会の許可さえ得ていればそれにひっかかることはない。それゆえに2週間前のこの時期は戦争である。
『生徒会から完成物のチェック、相談などについてのお知らせです。完成物の問題あり、なしの決定権は副会長の2人が持っています。他の生徒会役員も相談にはのりますがチェック、または確実に大丈夫だと思いたい人は副会長2人をつかまえてお願いしてください。また、生徒会役員にも自分のクラスの仕事があるのでちょっと待ってと言われたら聞いてあげてください。以上、生徒会からのお知らせでした。オーバー。』
いらん言葉が入った!?おそらくハルさんのせいだろう。
というわけでメエが放送で言ったとおり、俺たちは面倒な仕事を押し付けられた、というのは嘘だ。今回は自分で志願させてもらった。なぜかというと生徒会の中で俺が一番ひまだったからだ。もう1人はラブを推したのだが同じクラスにいたら同時に対応できなくなる可能性があるという理由でもう1人はマジさんということになった。
「ここまで忙しいのは嬉しいと言うべきなのかね?」
思った以上に人が来る。やっぱりどこのクラスも閉鎖要求はいやらしい。ささいなことまで細かく質問してくる。やっぱりどこのクラスも閉鎖要求はされたくないのだろう。
「これなんですけど……」
そして今は2年生の人が企画の設計図を持ってきている。
「それは問題なしです。」
「でも先生はこれじゃあ厳しいだろうって。」
「これは完全生徒会の主観で決定されます。一応基準はありますけどそれよりもゆるめにしてますから。でも、完成した物を確認して強度が足りないと判断したら使用許可を出せませんけどね。」
「……なんとなく仕事とツッコミがすごいってイメージあったんだけど思った以上にやさしくて普通ですね。」
「そんなほめられかたをされても正直に喜べませんよ。それに先輩だって十分魅力的ですよ。」
「え?」
「さて、次もいるんでよろしいでしょうか?」
「は、はい。」
そんなかんじで説明を終えた。
「……天然ジゴロ。」
後ろからユリにそんなことを言われた。
「なんでだよ?」
「女の子にほめられたのをやんわりと受け止めて、さらにちょっと笑える話題から最後にはさりげなく女の子のことをほめる。これがジゴロじゃなくて何の所業!?しかもそれを意識してない!これが天然ジゴロ以外の何かだろうか、いや、何かでないわけがない!!」
そんなことを言われたも俺は思ったことを言うようにしているからどうしようもない。実際、さっきの先輩の人当たりのよさは魅力的だった。
「それにしても忙しいな。」
「すみません。私のほうでもっと対応できたらよかったんですけど……」
「いや、自分で志願したんだ。むしろ心配なのはマジさんだよ。どれくらい忙しいかわかっていなかったとはいえ、クラスの劇で主役をしてる上でこんな仕事までさせてしまったからな。」
「そうですね……あ、次の人がきましたよ。」
「わかった。」
それにしてもこれはあまりいい状況ではないな。まだ半分ぐらいは企画を持ってきているだけだが、これがチェックまで入ってきたら、俺らがこれに決定する前に各生徒会役員が相談にのったもの、相談なしで決められたものも入ってくる。
……こっちも対応してやるか。