9、10月−8 大丈夫か生徒会②
すみません。ちょっとスランプ気味です。指が進みません。
「最後はこのクラスだよ!」
3年生のクラスはここで最後になる。
「失礼します!」
「噂の抜き打ちチェックです。」
「あれ?ダメだよ。私のファンなのはわかるけど勝手に入ってきちゃ。」
「え?は、はい。ごめんなさい。」
律儀にラブがお辞儀をして教室を出ていこうとした。
「ちょっと待て。ここで出ていったら俺らが間違ってたみたいだろ。」
「違うの?」
メエよ。バカにも限界点をもうけてくれ。
「あれ?ファンじゃないの?」
「いつまでファン引っ張る!?生徒会役員です。」
「わかってるよ。」
「ならさっさとさせてください!」
ハルさんとは違う超個性派だ。
「ごめんね。今年のみんなをちょっといじめたくなっちゃって。」
そう言ってぺろりと舌を出したのはピンクのツインテールにととのった顔立ち。雰囲気はちょっと幼い感じだが見た目は大人よりなので不思議なギャップがある女子だった。
「さてさて問題。私はいったい誰でしょう?」
「バカ。」
「お前が言うな、メエ。そして一応先輩だぞ。」
「けっこー君も失礼だぞ。」
失礼な。メエほどではないはずだ。
「私の名前は宮野 美香。聞いたことや見たことない?」
「ボクはわからない。ラブは?」
「えっと……名前は聞いたことあるような……」
「うん、おしい。」
その解答については残念そうな顔をしてない。なんとなく予想していた感じだ。
「そちらの現副会長さんはわかってるの。」
「ある意味あなたの顔は忘れられませんよ、前副会長。」
「え?」
その解答にラブが驚いた表情をした。
「わ、私たち会ったことありましたか?」
「んや、ないよ。」
宮野さんはニコニコ(決してニヤニヤではない)しながらこっちの反応を見ている。
「俺に言わしたら確実に忘れられない顔ですよ。この学校に来て最初の変人ですから。」
「やっぱり君は会長ちゃんより失礼だね。」
失礼な、とは言いきれないな。
「あ、もしかして初日に前で歌いだした先輩ですか?」
「あれ?そのヒントでわかっちゃうの?」
忘れることのない。初めて斑目先輩が会長だと知った日、いきなりコンサートを始めたあのアイドルっぽかった副会長だ。
「ということで、前副会長で知能派、みんなのアイドル宮野美香ちゃんです!」
「ボクがあのみんなからよく知られている新会長さんだよ。」
「わかってるよ。有名だもん。」
宮野さんはちょっと笑いながら言った。いったいどういう意味で有名なのか。……チビかバカか、どっちだろうな。
「あの、調査は?」
「あ!ゼロ、ここは何をするの?」
「コンサート。1時間のコンサートを日に2回。3日で6回を予定しているらしい。」
「なら、衣装とか?」
「そうだな。しかしアイドル系の服装について派手にツッコミはいれれないしな。」
「わかりにくいと思うので着替えてきました。」
「早っ!」
ピンクのフリフリがついたミニの服だ。
「どう?かわいい?」
「かわいい!」
「で、でも、これってはずかしくないですか?」
ラブは顔を赤くしながらそう言った。特にミニのスカートを見ながら。
「大丈夫だよ。これは見せパンだし。」
そう言いなが宮野さんは軽くスカートを持ち上げてみせた。
「ダ、ダメですよ!!男子もいるのに!!」
「だから見せパン……」
「それでもだめです!!」
ラブは全力で宮野さんを止めていた。そこまでされてやっと宮野さんはしぶしぶあきらめた。
「で、この衣装はOK?それともアンOK?」
「……」
たぶん使っていいのかどうかを聞いているのだと思う。
「えっと、ボクてきにはアウト。」
メエはあっさりと切り捨てた。
「ダメ?」
「なんとなくスカートの中が見えちゃうのはだめだと思う。」
メエはなんとなくで物事を決めるが簡単な理由もつく。
「副会長さん的には?」
「アウト、とまではいきませんけれど、さすがに見せパンだろうがなんだろうが素で見えるのはさすがにやばいんでそこだけはどうにかして下さい。」
「つまりこの衣装を変えなきゃいけないってことは……」
「うーん、ゼロはこう言ってるし衣装がかわいいから特別にOK!!」
「ありがとう!」
跳びはねながら宮野さんは喜んだ。
「実はこれ私の友達がデザインしてね。それでこの長さが絶対領域、って言ってこの長さになったの。」
……なんでだろう?すごくすばらしい話に聞こえたいのに、なぜだろう?聞こえない。
こうして3年生のクラスは終わった。
「まだ2年生もやるよ。」
「まだ続くのかよ!!」