9、10−7 大丈夫か生徒会
そんなわけのわからない状態で連れていかれたのは3年生の教室がある3階だ。
「なんでこんなところに?」
「これから抜き打ちチェックだよ!」
ああ。そういえば生徒会は何回かクラスや部活の抜き打ちチェックをするように言われてたな。そのタイミングについてはメエに全部一任されていたからすっかり忘れてた。
「しかしだな、メエ。ここで大声で宣言したら抜き打ちでもなんでもないだろ。」
「はっ!…………こ、これもボクの計算通りさ。」
そうならばかなりふっとんだ計算だ。まあ正直、この間だけで隠蔽できる程度のことならば今回は無理でも、けっこう簡単に検挙できると思う。
「と、とにかくゴー!!」
「たのもー!!」
「外で騒ぎを聞いていたと思うんですけど、一応抜き打ち検査です!」
「よく来たね。」
「……間違いました。」
「なんで帰っちゃうのさ。」
それはそうだろ。入った瞬間に斑目先輩の顔だからな。しかも、全身タイツ。
「わざわざお出迎えしてあげたのにひどいなあ。」
「す、すみません。」
「ラブ、今のは決して謝る必要のないところだぞ。」
「ということで、このクラスは何を作るの?」
敬語を使え。
「このクラスではバンジージャンプを……」
「わかりました。即刻解体して下さい。」
「冗談だって。」
「知ってますよ。たしかここはお化け屋敷でしたよね。」
俺がすべての企画書に目を通しているのだからそういう冗談は通用しない。
「で、で、どんな服なの?」
ものすごく目をキラキラさせながらメエは聞いた。どう見ても興味津々だ。
「そんなに大規模なものはつくらないさ。」
「そういえば、斑目先輩たちは大型教室の貸し出しを申請してませんでしたね。」
この手の場所を必要とするものはだいたいが特別室使用許可というものを出す。これは簡単にいうと自分の教室以外を使用したい場合は申請をおこなわないといけないというものだ。だが、いろいろなところが申請するので妥協案もよく発生するのだ。
「妥協案になったりすると最初の構想と変わっちゃうし、そんなのおもしろくないでしょ。」
「なるほど。最初の予定と変わって面倒なことをしたくないと。」
「ゼ、ゼロくん。そんなこと……」
「正解。」
「ええぇぇぇぇぇぇぇええっ!?」
ラブはいつも通りだ。
「でも、こんなに狭いのにできるの?」
「わかってないね、メエちゃん。必要なのは場所じゃない。クォリティと心さ。」
残念だ。非常に残念だ。タイツじゃなかったらかっこよかったのに。
結果だけ言ってしまうと問題はなさそうなのですぐに終わった。