9、10月−5 マスメディアは権力に屈せず
ちょっとスランプ気味です。筆……いや、指が動かない。
「ここのメンバー?」
かわいいと十分に言えるラブ、美人の部類に入るトバリ、あの中山の血を継いでいるだけあってイケメンのレン。ここまではわかる。だが……
「なぜ俺?」
「もちろん、かっこいいからにきまってるじゃないか。」
レンが当たり前のように言ってきた。ラブも頷いている。
「だが……」
「心配性の高月に、廉!あれを見せてあげて!」
「えー。あれ見せたら部長に怒られるんだけど。」
「もうすぐ引退する先輩なんかをこわがる意味なんてないわ!」
ひどい言われようだな、先輩。
「しょうがないな。これを見よ!!」
レンはかばんからあるものを取り出した。
「これは……『明解新聞』か?」
「そう!これが我が開明高校新聞部の誇る明解新聞、夏休み超特別号!!」
「?夏休み超特別号?」
明解新聞の説明は今のとおり。ただ、確認の意味もこめて毎月発行される明解新聞はこっちに届くはずである。
「その見出しがこれ!」
『夏休み突入記念、美男美女特集!!』
「……なんだ、これは?」
「新聞部が生徒会にばれないように必死でアンケートをとった結果だよ。」
なぜそこに必死になってる?
「それがこのランキングだ!」
かっこいい男子部門
1位 斑目 海斗
2位 高月 零夜
3位 真島 行人
4位 中山 廉
「……ちょっと待て。」
「どうしたんだい。」
「斑目先輩が1位なのはわかる。なぜ俺がお前やマジさんを押さえて2位なんだ?」
「世論に決まってるじゃないか。」
「……どうも信じられないな。他のも見せてくれ。」
かわいい女子部門
1位 佐倉 芽
2位 長峰 愛佳
3位 宮野 美香
4位 藤原 晴
……これだけじゃどうとも言えないな。
きれいな女子部門
1位 榊 菜月
2位 宮野 美香
3位 帳 飛鳥
4位 藤原 晴
これだけじゃ……
バカランキング
1位 佐倉 芽
(※1位以外の解答はありませんでした)
「……これは本物だ。」
「そこではっきりするんですか!?」
ここまでしっかりとしているが書きにくい情報はない。書いたということは本物だ。
「世論でも大丈夫みたいだが、俺は配膳みたいなことはしたことないぞ。」
「大丈夫だ。配膳なんてお前ならすぐできる。」
「それより、問題は笑顔よ。」
「笑顔?」
「そう。笑顔よ。どんなに配膳は練習できても、作り笑顔はできないって人がいるのよ。」
「それについてはけっこう自信があるんだがな。」
「そうなのかい?だったらそのキラースマイルで愛佳ちゃんをほめてみろ!!」
「ええっ!?」
「じゃあシチュエーションは……」
「そんなものなくていい。ラブのかわいさにシチュエーションなんて必要ないさ(キラッ)」
「くはっ!」
なぜかラブはしゃがんでしまった。
「ど、どうした!?」
「零夜!そのキラースマイルは使えるぞ!!」
……見えてなかったみたいだがまだまだ歯を出しただけだったぞ。
「これでどうにかなるぞ!!」
もう勝手にやってくれ。