9、10月−2 いくら剣が得意でもプライベートではふりまわさない
「さっさと出店だろうとなんだろうと決めるのよ!」
教卓を叩きながら叫んでいるのは少し青っぽい色の髪をポニーテールでまとめた、きれいのほうが似合う女子。
あれがクラス実行委員長、帳 飛鳥だ。
「でもさ、僕はそんなことしなくてもいいと思うよ。」
そう言うのはオレンジ髪にととのった顔立ちをしたイケメンだ。
ドゴッ!
「だまりなさい!殴るわよ、廉!」
「そういう言葉は殴る前に言うんだよ!」
こいつの名前は中山 廉。名前や容姿でわかると思うが、こいつはあの養護教諭、中山 梓の実子である。
「まあまあ。こっちのクラスには生徒会役員が2人、しかも1人は今現在もそれの仕事をしている。そこまで言えばわかるだろう。」
『そうか!』
『すべて改ざんできるのか!』
「誰がするか!」
なぜ改ざんすることで決まってるんだ。
「クラスのためだぜ。やってくれよ。」
「アホなこと言ってんじゃねえ、レン。そんなことやる前にさっさとやること決めてしまえ。」
「その通りよ!いつもそんなふうにかきまわすから決まらないんだから!今日は決まるまで全員、帰さないわよ!」
そう叫んだトバリの表情を見て、冗談じゃないと思ったのかクラスはかなりしっかりと話し合いを始めた。
「ここはべたにお化け屋敷だろ!」
「いや、写真館とかにすれば楽だぞ。」
「やっぱり喫茶店だって。」
話し出したら話し出したで今度は各々で話し始めた。
「あんたたちは意見を出すなら挙手で……」
トバリがうまくまとめようとしているが、たぶん難しいだろう。
約半年間このクラスにいたが、ここの特徴を述べるとスタートは遅いがスピードは速いという感じだ。つまり、やる気になるまでは時間がかかるが、やる気になりさえすればどこよりも動きがいい。
だからこそ、このやる気を削がないようにうまく丸めこまないとまたふりだしに戻ってしまう。
まあ、このへんはあいつがうまくやるだろう。
「ねえねえ愛佳ちゃん。収入とかが出たときはどうなるんだっけ?」
「えっと、たしか半分は学校側に渡しますけど残り半分については自由だったと思います。」
キッ!
『マジか!?』
『まさか、かせいだ金を使ってはっちゃけていいわけか!?』
「あ、あの、はっちゃけちゃ……」
『こうなったらかせぎまくるぜ!』
クラスの士気がさらに高まった。
「そこでだが、喫茶店みたいなある程度いい収入が出て、客回りのいいものにしたほうがいいと思う。それで意見を出してくれ。」
『やっぱり定番のメイド喫茶だ!』
『そうだ!このクラスの女子はレベルが高い!確実に儲けが出るぞ!』
と、男子が言えば、
『そんなのは時代遅れよ!今の時代は執事に決まってるわ!』
『そうよ!男子だってかっこいいのを選出すれば女子の客は完璧ゲットよ!』
と、女子が言う。そんな言い合いをして……
「僕はどっちもすればいいと思うよ。」
『『それだ!!』』
レンの一言で決まった。