7、8月−19 ジゴロの意味を知らない人はググろう
今、ヒッキーは諸事情で山口の常盤台にいます。でも能力者は発見できず。
「やっほー。」
外にはハルさんがいた。ハルさんはピンク色で桜が舞っているようなかわいらしい浴衣だった。
「どうどう、かわいい?ドキドキした?」
「そうですね。日本にきて初めての夏祭りではしゃいでいる外人の友人が、何かをやらかすんじゃないかっていうドキドキはありますね。」
「ぶーぶー、もっと優しくしろー。」
「ハルサンハカワイイデスネ。」
「やったー!褒められたー!」
もはやなんでもいいのだろう。
「ところで、他のメンツはどうしたんですか?」
「榊なら後ろにいるよ。」
「へ?」
後ろを見てみるとまっ黒の浴衣を着た榊に後ろをとられていた。
「お前は暗殺者か?」
「違うわ。サディストよ。」
そんなことをどうどうと言われても驚けない。理由は榊だから。
「あとはラブだが……」
「呼ばれたよ、ラブちゃん。」
なぜかハルさんは後ろに話しかけた。よく見ると後ろに誰かいる。
「……ラブか?」
「せいかーい!!」
「キャッ!!」
いきなりハルさんが横によけた。あらわれたラブはめずらしく明るいオレンジに花びらが舞っているようなすこし派手ぎみな浴衣だ。
「や、やっぱり無理ですー!!」
顔を真っ赤にするとまたハルさんの後ろに隠れてしまった。
「ほらほら、こういうときに女の子をほめるのがいいオトコだよ。」
いきなりほめろと言われても出てこないだろ。
「あの、やっぱり変ですか?」
「?何がだ?」
「私がこんな明るい浴衣なんて似合ってませんよね。」
俺は首をかしげてしまった。一応、確認のためにこっそりとハルさんの後ろにまわってみてラブの後ろ姿を見た。
「えっ!?い、いつのまに!?……やっぱり変ですか?」
「何が変なんだ?」
「え?」
「俺が見るかぎりは浴衣の着方がおかしいわけでもないし、普通に似合ってるしかわいいとも思う。何が変なんだ?」
それだけ言うとラブの顔がどんどん赤くなっていった。
「?どうした?暑くでもなったか?」
「あ、あの、あの、ありがとうございました!」
心配して近付こうとしたらすごい勢いで感謝してどこかに行ってしまった。
「ふっふっふっ、なかなかうまいほめかただねー。」
なぜかハルさんが変な状態になっている。
「で、どこからどこまでが本気なの?」
「別に思ったことを言っただけですけど。」
「おー!よし、君のあだ名は天然ジゴロだ!」
「いやですよ。そもそも、ジゴロじゃありません。」
「なら天然。」
「それはメエにでもあげてください。」
こいつは背が小さいから気にしてないとちょくちょく忘れる。
「本当は天然バカのほうがよかったんだがな。」
「ボクはバカじゃない!」ちゃんとお決まりのリアクションを返してくれた。
「まあ、そんなことはおいといて……」
「ボクがバカ呼ばれされてるのにそんなこと!?」
「ラブはいつ帰ってくるんですか?このままだと夏祭りに行けませんよ。」
「!!マジ!早くラブを連れてきて!!」
「かしこまりました。」
「いや、かしこまりました、じゃないでしょ、マジさん。メエもラブのことを信じて待ってみろよ。」
「だって高一の……」
「それはもういい。」
なんとかメエをなだめて、ラブを待つこと約5分。ラブは帰ってきたが、俺とは目をあわせなかった。俺にとってはそれほどはずかしくなかったがはずかしがり屋のラブにとってはかなりきつかったらしい。