7、8月−18 罠はかかるためにある
「で、何でマジさんが俺らの部屋にいるんですか?」
ちなみにメエは上機嫌でどこかへ行ってしまった。
「会長たちが浴衣に着替えるというわけで、ここに避難してきた。」
「ああ。」
何をしに行ったかと思えば浴衣か。
「ここはそんなサービスもしてるんですか?」
「夏祭りの日だけしているらしい。夏祭りでは浴衣美人コンテストみたいなのもやっているらしいからな。」
「なるほど。」
ちなみに、今日は貸し切りではなく一般のお客さんもいるらしい。
「ところで、マジさんが持っているその袋は何ですか?」
マジさんは2つの紙袋を持っていた。
「これか?出るときにハルがわたしてき……。」
「それ以上言わないでください。」
ものすごく嫌な予感がする。ハルさんがかかわっているだけですべての物質が危険なものに感じる。
「ちなみに、『ゼロがそれについて何か聞いてきたらゼロには開ける以外の選択肢は残ってないよ。』とのことだ。」
何てことだ。やっぱりハルさんには勝てないのか?
「しかし、一応止め……」
「聞いたのだから手遅れだ。」
くそっ!抜け目のない。
「ということでこれを着ろということだ。」
中から出てきたのは紺色っぽい男性用浴衣。俺には浴衣以外の選択肢はないのか。まあ、執事服とかがいきなり出てくるのと比べれば数十倍はましだけどな。
「私もわたされている。」
マジさんのは黒の浴衣だ。さっさと着替えた。
「なかなか似合うじゃないか。」
「マジさんのほうもですね。」
マジさんは銀髪だから浴衣は浮いてしまうと思ったがけっこう似合っている。
「2人とも、早く行くよ!」
そう言いながら入ってきたメエはひまわりの描かれた黄色い浴衣を着ていた。
「わかりました。」
俺は荷物の用意があったので部屋にはメエと俺だけになった。
「で、どう?」
「何がだ?」
「浴衣似合ってる?ってこと。」
なるほど。メエもそんなことを気にする女の子なんだな。
「そうだな……馬子にも衣装だな。」
「どういう意味?」
「似合ってるってことだ。」
「やったー!!」
実際は違うのだが、まあ喜んでいるみたいだからいいだろ。