7、8月−10 どんな人でも多勢に無勢
!この話題はやばい!メエをふっとばしてでも……
「逃がしません。」
「そうですよ。」
「おもしろそうですね。」
完全に違う方向を見ていたはずの4人が全員、俺に狙いを変えた。というか、ラブは想定の範囲内だったが、リンとフーちゃんは完全に想定の範囲外だった。
「どうなの、ゼロ?」
「どうなんですか、ゼロくん?」
「誰なんですか、先輩?」
「話したってへるもんじゃないじゃないですか。」
4人からの同時攻撃。2人ならうまく逃げだせたかもしれなかったが、これは逃げだせないだろ。
「マ、マジさん、ヘルプ。」
「がんばれ。」
マジさんへの救助要請はあっさりと切られた。
『さあ!』
これが言わないといけない空気というやつか!しかし、いくらKYと言われようとここで言ったらだめだろ。
「よ、よし、お前の言いたいことはわかった。」
『じゃあ……』
「でもな、全員に言ってしまったら意味がなくなる。だから、これからやってもらうゲームで勝った1人に教える。」
『ゲーム?』
「ルールはいたって単純。今から最初に寝たやつの勝ち。それだけだ。」
「やるよ!」
「負けません!」
「私もです。」
「わたしだっていますよ!」
4人ともその場で横になった。あれだけのアルコールであそこまで自分を見失ったんだ。そんな状態で本気で寝ようとしたら……
『スースー』
そりゃ、こうなるよな。
「おつかれさまー、ゼロ。」
こんな事態をひきおこす原因を作った人が近づいてきた。
「こんなことしといてよく普通にいれますね。」
「いやいや、これでも自分のやってしまったことに深い反省の意はあるんだよ。」
そんなに笑顔で言われても信じれません。
「……もういいです。」
疲れきって怒る気にもなれない。
マジさんの座っている席の横に座った。
「うまく逃げたな。」
「酒が入っていたからうまくいっただけですよ。素面だったらこんなのにひっかかりませんよ。」
「しかし、今はうまくいった。それで十分だろ。」
そういってマジさんは飲み物を俺の前に出した。
「いただきます。」
マジさんが出したジュースを一気に飲みほした。……ジュース?
「マジさん、これって……」
「ハルが持ってきたジュースだ。」
「それってつまり酒……」
まずい。体が熱くなって、意識が弱くなってきた。俺もあんまり酒は強くないんだ。え?イメージと違う?そんなこと俺の知ったことか。そんなこと言ってるうちに……
俺の意識は闇の中へとおちていった。