7、8月−7 ジョーダン
「つかれた……」
あの後、1時間くらいカラオケが続いたのだが、その間に俺が歌った時間は30分程度。のどもつかれるというものだ。
「いやー、楽しかった。」
そして、俺と同じくらい歌ったはずなのにほとんどつかれた様子のない同室の人間がいる。そういえば、子供って遊びごとには無限の体力を持っているって聞いたことがあるな。
「じゃあ、お風呂に入るけど、ボクの裸見たさにのぞいちゃだめだよ。」
「そんなことするか。」
「本当に?」
「なんだ?のぞいてほしいのか?」
「〜〜〜〜っ!!ばかっ!!」
顔を真っ赤にして脱衣所に入っていった。やっぱり、あいつは子供だな。
「やばい、眠い。」
こうなったら1時間ぐらい寝よう。そうしたら復活するはずだ。
「……きろ、起きろー!!!」
「ま、まて、耳がいたい!」
メエの声がむちゃくちゃいたい。
「なんでねちゃってるのさ!?ボクのことをのぞくんじゃなかったの!?」
「は?」
顔を真っ赤にしながら言ったメエなんてめったに見れないとか、今はそんなことどうでもいい。
「まさか……信じてたのか?」
「えっ!もしかして、嘘?」
「というか、冗談。」
「……」
「……」
あれ?なぜか沈黙が重い。
「あ、あの、メエ?」
「ゼ……」
「ぜ?」
「ゼロのばかーーーーー!!」
「冗談なのになんでそんなに怒る!?」
「言っていい冗談と悪い冗談があるよー!!」
「ちょっ、ちょっまっ……」
「ヤッホー!遊びにきたよー!」
開けっぱなしのドアからハルさんが入ってきた。
「ハルさん!助けて!」
「ごめん!男女の修羅場をどうにかできるほどわたしはすごくないのだ!」
「いばらないでください!ついでに、修羅場じゃありません!」
「なら何?」
「それは……」
やばい。修羅場という言葉がすごいしっくりくる。いや、そんなことは決してない。
「……兄妹げんかだ!」
「始めて見た人には通用すると思うけど、わたしには通用しないよ。」
そんなことはわかっているが、それくらいしかなかったんだよ。
「ゼロー!!」
「ちょっ、まっ!うおっ!」
不覚にもメエの勢いにおされて倒されてしまった。そして、メエが俺の上にまたがった。俗に言うマウントポジション。
「こんにちは。」
「遊びにきましたよー!」