7、8月−5 小さな争い
マジさん。ボケならこんなときにしないでほしい。
「さすがに生徒会役員がホテルに男女いっしょの部屋で寝たなんて噂が流れたらしゃれになりませんよ。」
「そうですよ。」
ラブ、お前はこんな中でもまともに……
「ゼロくんは私といっしょの部屋になるんです。」
「ちょっと待て!それはなんの解決にもなってないぞ!」
このごろの生徒会新聞といい、どんどん俺への当たり方がきつくなってないか?
「じゃあ、公平にじゃんけんで決めよう。勝った人から好きな相手を選ぶんだよ。」
「す、好きな人!?」
ラブの過剰反応はおいといて、それでも俺が不利なはずだがこのまま決まらないよりいい。
「じゃあ行くよー!じゃんけん……」
「わー!広いねー!」
「……そうだな。」
「このベットなんてふかふかだよ!」
「……そうだな。」
「もう、ゼロはテンション低いなー。」
そりゃあ、低くだってなるだろ。たしかにメエがじゃんけんに強いことを忘れていたわけじゃなかった。あいつのものすごい第6感は何回も見てきたんだ。わかってた。
むしろ、そのことはわかっていたからじゃんけんで決定することになったときメエが勝つことはわかっていた。だが、勝ったからといってメエが俺を選ぶことはないと思った。
それが間違いだった。
結果、俺はメエと同じ部屋になってしまった。
「広いー!」
メエはまだ叫んでいた。まあ、たしかに広い。
1つの階を4部屋にしただけあって2人で使うには広すぎる。なんでホテルは無駄に広い部屋が1つはあるのか。たぶん永遠の謎にしておくべき題材だろう。
「やあ、ちゃんと部屋に入った?」
そこに入ってきたのは変態。そうだ!さすがに教師がこの状況を止めないわけが……
「すばらしいね、この状況。男女が同じ部屋なんて、何か起こらないかな?」
こいつは教師じゃない。ただの変態だ。
「さっそく海にいこう!」
「おいおい、いきなり海でいいのか?」
「問題ない。」
マジさんがいきなりあらわれた。できれば心臓にやさしい登場してほしい。
「今日は各校の親睦を深めることになっている。だから泳ぐことは問題ではない。」
「いや、そこじゃありません。」
「?ならどこだ?」
「雨が降ってます。」
外ではしとしとと雨が降り始めていた。
「えー!!」
「確かにこれは無理です、会長。今回はあきらめましょう。」
「いやー!!」