6月ー10 相談しよう。そうしよう。
B棟とC棟の間の渡り廊下に4人は集まった。
「どうしたの?」
「あいつら、逃げるときにおかしくなかったか?」
「たしかに。あいつらはこっちが動いたら動いて、こっちが止まったら止まる。まるでこちらの動きにあわせるようだった。」
榊の言ったことに俺はうなずいたが、他の2人は首をかしげた。めんどいので放置。
「おそらくやつらのねらいは長い間、オープンスクールの校舎見学をできないようにすること。教室に入って物を壊してもいいけど、そんなことしたら確実に捕まるだろうしな。それに対して、見えたら逃げる。これはちゃんとすれば逃げ続けるし、うまくやれば捕まらずに終われる。これを考えたやつはかなり頭のキレるやつだな。」
「よくわかんないけど、どうすればいいの?」
『追い掛け続ければいいだろ。』
突然、マジさんが言ってきた。
『相手もあんな小さいスケボーだったらそこまで長くは持たないだろ。』
マジさんにしては珍しい考え方だ。俺は別の方法を考えていたがどうすべ……
「ねえ、マジ。本当にマジ?」
「何を言ってるんだ?」
たしかにメエは何を言ってるんだ?これはマジさんとしか連絡がとれないようになっているはず。
「何かマジじゃない。」
「何を言ってるんだメエ、私はマジだ。」
ん?ちょっと待て。なんだ、さっきの違和感は?いつものマジさんと何かが違う。どこだ?どこなんだ?……あっ!?
「なるほど。」
やっとわかった。
「?何がわかったの?」
「違和感の理由だ。」
そう言って2回イヤホンマイクを叩いた。
「マジさん。」
『なんだ?』
「マジさんはそういうとき「どうした?」だ。それにマジさんは絶対にメエのことは「会長」って呼ぶし、いつも敬語でしゃべるのが普通だ。」
そこで偽マジさんはだまりこんでしまった。
「あともう1つ。」
ゆっくりと息を吸い込んだ。
「開明高校生徒会をなめんなよ!」
「……っておい!それは俺のセリフだ!何でお前が言うんだ、メエ!」
「ボクも見せ場が欲しいもん。」
「しったことか!」
そこからメエといろいろ言いあっていた。
「……あのさ、そろそろ作戦言ってー。」
「「あ……」」
なんだかこのごろメエにのせられてどんどんボケが増えていってる気がする。
『……ー、あ。聞こえるか!?』
「あ、どうもです。」
『会長も大丈夫ですか!?』
「平気だよ。」
メエが反応してないし、ちゃんと敬語を使ってるからマジさんで間違いないだろう。
トントン。
「そっちでは何があったんですか?」
『前にデータが盗まれたときと同じようにいろいろな機能の主導権を盗られた。今は全機能も回復させたし、相手が盗んでいたらしい監視カメラの映像も見れないようにしておいた。』
「おつかれさまです。それで、こっちの作戦なんですけど……」
作戦の内容を説明した。
『なるほど。ならば私はここでサポート続行だな。』
「はい。ところでスケボーバカどもは今どうしてますか?」
『今は校内をうろうろしているみたいだな。』
おそらく俺らの位置情報が入らなくなってしまったから警戒のために、適当にうろついているのだろう。これはあまりうれしい状況ではないな。
「ラブにそいつらの行動パターンを予測させてください。」
『ラブが勝手にやって、現在そっちに向かっている。』
ラブも判断力がよくなったものだ。
「持ってきました。」
「速いな。」
さて、ちょっと準備をしたら攻めさせてもらいますか。