6月ー9 追いかけっこ
さて、マジさんはどうやったかは知らないが学校の監視カメラの映像を手にいれたらしい。その情報によると、3人はA棟、B棟、C棟ときれいにわかれてとくに何かを壊すこともなくただ走っているらしい。俺らはA棟をハルさん、B棟を榊、C棟をメエと俺という布陣をしき侵入者を各自で捕まえることにした。つまり、一人一殺だ。
『殺しちゃだめですよ!』
……ついに心の中にまでツッコミがきたか。ラブのツッコミは上達したな。
「さて、どこだー!」
「叫んで出てきたら苦労しな……」
「いたー!!」
「本当に出たー!?」
本当に俺たちの目の前に出てきた。そいつはこっちが動き出したのを合図のように逃げ出した。
「待てー!」
と言ってメエはおっかけるが待つはずもない。その前に機動力が違いすぎる。こんなおっかけかたじゃ永遠に捕まえれるはずがない。
「待て、メエ!」
1回メエを止めた。
「このままじゃらちが明かない。挟み撃ちにするぞ。」
トントン
「マジさん、今C棟のはどこにいますか。」
『2回の真ん中あたりだ。』
「よし、メエはあっちから、俺はこっちから飛び出すぞ。合図はマジさんに取ってもらう。」
さっさと2階に下りて行きこっそりと廊下をみた。確かにスケボーに乗ったバカは2階中央で止まっている。
『3,2,1で行くぞ。』
「はい。」
『よし、3,2,1、今だ!』
同時に左右から俺とメエは飛び出した。メエの速度に合しているからさすがに速度はないが、ふつう挟みこまれたら少しは焦る。そのすきに俺が一気に加速してとらえればいいことだ。
そう思っていたが、スケボーバカはこっちをちらっと見ると迷わずにメエのほうへスケボーを走らせた。
「えっ!?わっ!!」
メエに最高速度50km/hも出るスケボーに乗った人間を止めれるわけがない。メエの横をすり抜けてそのまま階段を上へと昇って行ってしまった。
「大丈夫か、メエ?」
「うん。ちょっとびっくりしただけ。」
ここまでめんどくさい動きをしてくれるか。ちょっと作戦変更が必要かもな。
「さあ!また追いかけ……」
「ちょっと待て。」
俺はメエを制止すると耳の機械を2回叩いた。
『どうした?』
「全員を1回集めて下さい。」