6月ー8 壮大な説明
「ここだ。」
校舎の間にマジさんがいた。人ばらいはできているようだ。
「どうもです。状況はどうですか?」
「ボクは1つもわかってないので、最初からの説明を要求……」
「却下。」
「早いよ!!」
メエがふてくされてしまった。このままだとめんどくさいし、バカにでもわかりやすい説明をしてやるか。
「実はな今、開明高校を狙っているやつらがいるんだ。」
「えっ!」
「そいつらが現在、学校を完全に自分のものとしようとしている。そんなことは許されない。だから俺たち生徒会はそんなやつらをつかまえて、2度とそんなことをさせないようにする。わかったな。」
「アイサー、隊長。」
「隊長はお前だ!俺はお前についていく!」
「よしっ!ついてこい!」
バカへの壮大な説明終了。
「ゼロくんはだんだんメエちゃんのあつかいがうまくなってきましたね。」
「いままで生きてきたなかでほめられているはずなのにうれしくないことでは間違いなく1番だ。」
「そろそろ説明していいか?」
ああ、メエやラブのせいですっかり忘れていた。
「お願いします。」
「電話で言ったとおり、3人の男がスケボーで校内を走っている。」
「そこなんですけど、ただのスケボーなら簡単にとりおさえられませんか?」
スケボーなんて正直、坂のない校内では走ったほうが速いくらいだ。
「そこなんだが、どうやらあいつらはスケボーの扱いに馴れているらしくてな。上下運動もかなり速いらしい。しかも、平面では電気エンジンの力で最大50Km/hぐらい出るようだ。」
それはどこの某人気推理マンガの高性能スケボーだ。そういえばあれって道路交通法にひっかからないんだろうか?
「だが問題はそこじゃない。」
「あれ、そこじゃないの?」
ハルさんがいきなり出てきた。ていうか、いたのか。
「オープンスクールにこんな問題が起きたんじゃあ、この学校の印象が悪くなるのは絶対でしょうね。」
「その通りだ。だからこそ私たちはこのダメージをどれだけ小さくできるかのほうが重要だ。」
さて、そうは言っているがかなり難しいだろう。すでに校内に入らないようにマジさんが手配してしまっているようだし、おそらくスケボーに乗ったやつが入っていくのも見られてしまっているだろう。こんな無茶苦茶はメエだけで勘弁……
こんな無茶苦茶?
「……マジさん、いい考えが思いつきました。」
「なんだ!?」
「それは……」
マジさんにだけ説明。他は質問されるとめんどうなので後でマジさんにたのもう。
「さて、とりあえず侵入者をつかまえますか。」
「よっし、開明高校生徒会全員行くぞー!」
「いえ、私とラブは残ってここで指示を出させてもらいます。」
「いや、マジさん。指示ってどうするつもりですか?」
「それは……これだ。」
そう言って後ろのダンボールから何かを取り出した。耳にはめるイヤホンマイクみたいな形だが、それにしては小さい。なんかどっかの刑事ドラマで使ってた気がする。
「それってもしかしてブルートゥース?」
「ブルートゥース?」
まったく聞いたことのない名前だ。しかし、メエはそこまで不思議そうにしていない。
「もしかして、メエはわかるのか?」
「うん。もしかして、ゼロはわかんないの。」
なんかニヤニヤしながらこっちを見ている。
「くっ、高月零夜、一生の恥。こうなったらここで、いさぎよく腹を切るしかない。」
そう言って木刀を取り出して腹に当てた。
「わー!はやまっちゃだめ!」
「そうですよ!それ以前に木刀じゃ死ねませんよ!」
「そろそろ本当に説明してもいいか?」
はい。さすがに進まないのでここらでストップです。
「ブルートゥースだが、簡単に言うと無線機みたいなものだ。これを使えば連絡をとれるんだが、それは難しいから私との連絡のみとさせてもらう。私から連絡をするときはノイズが入るからそれで判断してくれ。逆に通信したい場合は耳に付けたブルートゥースを2回叩いてくれたら回線を開く。」
「了解です。」
「OKだよ。」
「わかった。」
「わかんない。」
「よし、大丈夫だな。」
「いや、メエちゃんが……」
「メエは俺と行動だから大丈夫だろ。さっさと行くぞ。」
やっと生徒会が学校に突入した。