6月ー6 食堂
「あ!やっほー!ここでーす!せんぱーい!」
入ったらすぐにリンとフーちゃんが見つかった。5分前にはついたはずなのに、すでに4人席を確保しておいてくれていた。
「すまんな。遅くなった。」
「大丈夫です!私たちも来たばっかりですから!って言ってみたかったんですよね!」
「ごめんね。せっかくのオープンスクールだったのに。」
またメエがすまなそうに言った。
「だ、大丈夫ですよ。」
「そうですよ!それよりも私、私立はこの学校を受けようと思います!」
「おおっ!」
これはうれしいことだ。
「あれ?でも、二見ちゃんって私立の推薦はもうもらってませんでしたっけ?」
「え!?そうなの!?」
「はい。私、陸上のインターミドル、短距離走で準優勝したんです。」
なるほど。それならばいろいろな私立校がほっとくわけがないだろう。
「いいんです。私、ここが気にいりました。体験入部した部活の先輩はやさしいっていうよりはおもしろい?うーん、自然体なんですよね。なんか無理してない感じ?体験入部の生徒がいる前でいきなりほっといて勝負を始めちゃうし。でも、そういうところにあこがれちゃいました。」
「ここは前と今の生徒会長がむちゃくちゃだからな。たぶんその影響だろ。」
「え?なんでボク?」
「さて、今日はおごってやるから希望の品を言え。」
「ボク、レディースセット!」
ささいな質問はどうでもよくなったようだ。
「でも、おごっていただくなんて、そこまでしていただくなんて……」
「残念ながら、ここの学校は去年の4月からカードでの支払いに変わったんだ。ついでに言うと現金は使えない。だから外部生は普通、ここでは昼飯を食うことはできない。」
「えっ!?じゃあどうするの!?」
ちょっと待て。なんでメエがわからないんだ。まあ、わかりきっていたんだけど。
「だから学校に来たやつはナンパをする。逆ナンも普通にあるし、在校生からもナンパをする。去年は斑目先輩がオープンスクール前に宣言した。だから、この学校のオープンスクールはそういう意味でも有名なんだ。」
まあ、2人は何も不思議そうな顔をしてないから知ってただろうな。いや、知らないのなんてメエぐらいか。
「さて、希望のメニューを言ってくれ。ここはだいたいのものがあるから何でも大丈夫のはずだぞ。」
実際、ここはかなりの種類がそろっている。おととしはそこまでじゃなかったらしいが、斑目先輩が『メニューが少ない!増やすぞ!』と言ったらしく、今の種類になっている。学校側は大変だろうが、生徒からはかなり好評だ。
「じゃあ、私はゲテモノで。」
ゲ、ゲテモノ?かなり予想外だが、悲しいことにそんなものですらある。
「リンは何がいい?」
「じゃあ、激辛料理もありますか?」
「ある。」
ここはどんなものでもある。断言しよう。
「ということで買ってくる。」