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6月ー5 保健室の主

 「失礼しまーす。」


 「おや、天下の生徒会、会長様と副会長様じゃないか。どうしたんだい。いや、みなまで言わなくてもいいや。若気のいたりというやつだろ。大丈夫さ。僕はそういうのは寛大……」


 「だまれ、変態保健医。氷とベットだけあったらあんたは必要ないから、帰ってくれていいぞ。」


 「ひどいねえ。」


 そう言いながら冷蔵庫に向かった。


 中山なかやま あずさ


 女みたいな名前だが、こいつは世にも珍しい男性養護教諭だ。オレンジ色の派手な髪(本人いわく地毛)にキラキラという効果音が似合いそうなイケメン。こいつを目当てに保健室にくる女子生徒もいるらしい。しかし、変態だ。しかも見た目は20代前半と言っても通じそうだが、実際はとっくに30代後半。所帯もちで息子もいる。


 「はい、氷。」


 「アリガトウゴザイマス。」


 「ここまで感謝されてないとはっきりわかる感謝の言葉をもらったのは初めてだよ。」


 「イエイエ、クチデハイイアラワセナイホドノカンシャデスヨ。」


 「読みにくそうだし、聞きにくいからその言葉はやめてくれないかな。」


 俺はメエをベットに寝かし、氷で冷やしてやった。


 「大丈夫なのかい。その様子だと熱中症かな。」


 「でしょうね。グラウンドのど真ん中でいきなり倒れましたし、体温が高かったですから。」


 「お姫様だっこの上におでこをあわせたのかい。さすが、この頃の学生は展開が早いね。」


 とりあえずあのにやけ顔に木刀を叩きこみたくなったが、一応心配しているみたいだからここはぐっと我慢した。こいつはこんな適当な性格なのに仮病できたやつの話までしっかり聞くという一面もあり俺は嫌いになれない。もちろん、好きにもなれない。


 「……ん?」


 メエが目を覚ました。


 「起きたか。」


 「あれ?ここは?」


 「保健室。お前は熱中症で倒れたんだ。」


 「あ、そうなんだ。ごめんね。」


 本当にもうしわけなさそうにした。


 「気にするな。」


 「中山先生もありがとうございました。」


 「いやいや、君みたいにちゃんと感謝の意をあらわしてくれるなら僕もうれしいよ。」


 そういいながら俺を見たがそんな視線は完璧にスルー。時計を確認するともうすぐ11時20分になろうかという時間だ。


 「11時半に食堂で合流する予定だが、どうする?もう行くか?」


 「うん。」


 「もう倒れないようにね。」


 そんなこんなで俺らは保健室を後にした。



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