6月ー4 うるさい
「もしかして、ゼロとそっくりって言ってた人?」
ききたくてうずうずしていたのだろう。メエはキラキラした瞳できいていた。
「はい。そうです。」
「もしかして恋人?」
「いえ、お兄ちゃんです。」
「お兄ちゃんだと!?」
どこからともなくハルさんの登場。しかも、変な興奮状態だ。
「お兄ちゃんなんて呼ばれている、しかもこんなかわいい妹に!なんて運のいい奴なんだ!」
「ハルさん、いきなりでてきてわけのわからないこと言わないで下さい。なれてないと反応に困りますから。」
横を見るとポカーンとしている2人がいる……はずだったんだけどなあ。そこにいたのはなんか目をキラキラさせているのと関心しているのがいる。
「すごいです!こういう生徒会にあこがれます!」
「たしかにすごいです。」
こいつらもぶっとんだやつらだった!いや、いまさらそんなことはいいか。
「ハルさんは別のエリア担当でしょ。早くそこに行ってください。」
「冷たいなー、ゼロ。もっと女の子が増えたとか言ってよろこばないのかね。」
「ツッコミの回数がふえて疲れるだけです。」
さっさとハルさんを自分の持ち場に帰らせた。
「いいんですか?」
「俺を殺したくないならやめてくれ。」
そんなことをしゃべりながら校内の案内をしていた。説明は主にメエ。俺はそれにツッコミをいれていった。
「ここが校舎。机の高さが寝るのにピッタリなんだよ。」
「俺には少し低いがな。」
「それってどういう意味?」
「考えろ。」
2人は笑って見ていた。
「続いてはこの学校の名物、白桜です。なんと、この下で告白すると結婚まで持っていけるか、完全に話すことも永遠になくなるくらいまでフラれてしまうという噂がありあす!」
「この前の話よりさらに振り幅がひどいことになってる!」
そんなツッコミを笑っている2人。
「なんか俺たちばっかりしゃべってるけど、大丈夫か?」
「あ、はい。」
「むしろ楽しませてもらっちゃてまーす!」
そう言っているうちにグラウンドに到着した。
「ここでは各部活が体験をしてるから、興味がある部活でも見てこいよ。」
「わっかりました!」
すごいスピードでグラウンドに走っていった。
「で、リンはいいのか?」
「はい。私は運動が得意じゃないんです。」
「ねえ、ゼロ。ボクも行ってきていい?」
「は?ま、まあいいけど……」
「やったー!」
メエも行ってしまったさて、どうする……
コーン!
音のしたほうを見てみる。野球部の体験中か。そして少し横を見てみる。倒れているメエか。……倒れてるメエ!?
「おい!大丈夫か、メエ!?」
「目の前がくるくるで〜、世界がふわふわしてる〜。」
倒れたときに頭はうってないようだが……。でこに手を当ててみる。熱いな。ほてった体に高い体温。これは熱中症と見て間違いないだろうな。
「あの、会長さんは大丈夫ですか?」
心配そうにリンが声をかけてきた。
「たぶんただの熱中症だ。保健室に連れていくから、11時半に食堂で待ち合わせでいいか?」
「あ、はい。わかりました。」
俺はメエを保健室に連れていこうとしたところで固まった。
「?どうしたんですか?」
「いや、こういうときってどうやって運べばいいんだ?」
今まで、倒れたやつを運んだことはある。でもそいつは、男で米俵でも運ぶかのごとく運んだ。しかし、俺だって女にそんなことをしてはいけないとわかっている。だが、どうすればいいのかまではわからない。
「ええと、それはもちろんお姫様だっこです!」
「お姫様だっこ?」
「はい。お姫様だっこは女の子にとっての憧れなんです。ロマンなんです!ミラクルなんです!!」
なんかすごい熱くかたられた。そこまで言われたらしないわけにもいかないよな。しかし、てっきりラブのツッコミができないぐらいのキャラだと思っていたが、変なところに本気なのはいっしょか。
「よっと。」
自分でリンに聞いたことを微妙に後悔しながら俺はメエを持ち上げた。なんか見た目通りというか、かなり軽いな。これはだいたい……女の体重なんて考えないほうがいいな。
「それじゃあ、フーちゃんをたのむな。」
「はい。」
俺は保健室へと向かった。