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6月ー3 中3

 「なんでだめなの?」


 「意味も知らずに言うな。」


 前代未聞であろうあいさつのあと、俺は私服に着替えて、偶然会ったメエと学校を回っていた。


 「ところで、夫婦げんかは犬も食わないってどんな意味?」


 「そのまんまだろ。」


 「あの!」


 後ろから声をかけられた。


 後ろを見ると1人はショートカットでなかなかボーイッシュな少女、もう1人は真逆で黒髪のボブカットで頭に大きなリボンみたいなものをしたか細い少女。まるで人形みたいだ。


 「ええと、生徒会の副会長さんですよね?」


 「そうだが。」


 ボーイッシュな少女の問い掛けに肯定で答える。


 「もしかして、西中出身の高月零夜さんですか?」


 「そうだ。」


 「西の夜と呼ばれた?」


 「そうだが、けんかは勘弁してくれ。」


 「違いますよ。」


 西の夜が出てきたからけんかだと思ったが違うみたいだな。


 「あっ、私、二見ふたみ まいりっていいます。名前はあまり好きじゃないんで、できれば名字で呼んで下さい。」


 名前を聞いたが、思いだせない。


 「ねえねえ、ゼロの知り合い?」


 「名前は記憶にない。」


 「そりゃあそうですよ。私があなたに名前を言ったのは初めてのはずですから。」


 初めて?余計にわけがわからん。


 「覚えてないと思いますけど、半年前に助けてくれたんです。」


 助けた?


 「正確な日にちか場所を教えてくれないか。」


 「11月21日です。」


 たしかその日は……


 「……不良相手に本気で文句を言って、路地裏に連れ込まれた無謀な少女か?」


 「えと、たぶんそれだと思います。」


 そういえばこんな少女だったような気がする。


 「覚えている。いろんな意味で印象深かったからな。」


 「どんなだったの?」


 「ちょっと待て。」


 興味津々といった感じのメエを制止して、もう1人の少女を見た。


 「お前の名前は何だ?」


 「え!?あの、ええと……」


 少女はおろおろしだした。こんなことにはあまりなれていないみたいだ。


 「だめだよ、ゼロ。気付いてないかもしれないけど、けっこう怖いんだよ。」


 まさか、メエにさとされることになるなんて。


 「あの、ちょっと驚いただけです。」


 やっぱり怖かったのか。


 「怖かったわけじゃないんです。ただ、ちょっと似ている人がいただけです。」


 「あっ、そうなんだ。よかったね、ゼロが怖いわけじゃないみたいだよ。」


 「怖いって言ったのはお前だけだからな!」


 他人のいる前でのツッコミ。恥ずかしくはないんだけど、疲れる。


 「ええと、私は音無おとなし すずといいます。二見ちゃんとは同じ学校に通ってて、親友なんです。」


 「そうでーす。」


 とても仲がよさそうだ。


 「せっかくだし、ゼロ!ニックネームをつけろ!」


 「「ニックネーム?」」


 「そう!今の生徒会メンバーのニックネームはゼロがつけたんだよ。仲がよくなるためにつけるんだ!!」


 簡単に言ってくれる。そんなのは本人の了解が……


 「つけてくださーい。」


 「私もお願いします。」


 あっさりとOKがでちゃいました。


 「ええとな、二見はフーちゃん。」


 「ありきたりですけど、かわいいですね。」


 まあまあは気にいってくれたといった感じか。


 「音無はリンちゃんでどうだ。」


 「え!?」


 「あ、いやだったか?」


 「そうじゃないんです。ただ、私の知っている人と同じ呼びかただったんです。」


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