4月−2 初心
ということで、俺を含んだ6人はいきなりステージにあげられた。何も聞かされてないのにここで初心表明演説をしろとのことだ。
そんな無茶苦茶な、と反論したかったが却下された。しかも役員になるのはわかったが役職がわからない。
「では、まず会長の発表です!」
元気な前副会長の声が響く。
「1年6組、佐倉芽ちゃん!」
「えっ!」
立ち上がった少女はものすごい小さい少女だった。というか小さすぎる。目測だが140cmぐらいしかないと思う。しかも子供っぽくてかわいい。
「ええと……」
小さいのでマイクをめいいっぱい下げたが届かない。しょうがなくマイクを外して前に立った。後ろの台が比較になって小さいのがよくめだつ。
「私が次の生徒会会長となりました佐倉芽です。」
おや、いきなりのはずなのにけっこうしっかりとしている。一年生で小さいがすごいのかもしれない。
「これからの3年間で学校に革命をおこします。」
その言葉を聞いて、俺の横の男子が立ち上がった。身長は175cmぐらいの眼鏡をかけたけっこうイケメンだ。
「会長、会長の任期は2年です。」
「えっ!じゃあ2年で……」
「革命じゃなくて改革してください。」
胸のバッチを見るかぎりは二年生だ。
「まあ、なんかします!!」
まあ会長について完璧にわかったことが1つある。
会長はバカだ。
「続いて副会長は2年4組の真島行人くん!」
そして、そのままその男子は会長からマイクをもらった。
「副会長の真島だ。主に会長のサポートにまわらせてもらい、改革を手伝わせてもらうつもりでいる。以上。」
こちらは堅物といった印象かな。
「続いてもう1人の副会長、高月零夜くん。」
俺が呼ばれた。俺はマイクを受けとらずに会長の前にいった。
「俺はおりさせてもらいます。」
会長はとても驚いているようだ。それもそうだろう。下で言うならまだしもステージの上で言ったのだから。
会長や副会長だけしか聞きとれなかったようで、下の生徒は不思議そうにしているみたいだ。
「な、なんで?」
「俺はのんびりと楽しく過ごしたいんだよ。」
「き、きっと楽しいよ。いや、楽しくするよ。」
会長は必死になっているようだ。それでも変わらない。
「俺は革命なんて嫌いです。そういうことをすると助かる人と犠牲者が出るものだ。その覚悟があるのか?」
会長は悩んでいる。俺は副会長からマイクを受けとり立った。
「俺は……」
「だめー!!」
ドンッ!
横から会長がタックルをくらわしてきた。しかし、小さい会長の攻撃などではそうそうゆるがない。
「覚悟はできたのか?」
「できてないけど……」
まっすぐとこっちを見た。
「犠牲者なんか絶対に出さない。」
強い瞳で見られた。自分がうつりそうなほど澄んでおり、吸い込まれそうなほど深かった。
「……」
俺は無言のまま会長を離し、マイクを握りなおした。会長は心配そうに俺を見ている。一度大きく深呼吸。
「俺が生徒会副会長にならされた高月零夜です。よろしくお願いします。」
それだけ言うとマイクを置いて、会長のほうを向いた。
「次の邪魔になるから戻るぞ。」
「う、うん!!」
ものすごくうれしそうに笑顔で言った。
戻るといつのまにか副会長が戻っていた。本当にこの人は抜目ないようだ。
その他はおいおい紹介しようと思う。という感じで今日の生徒会役員の引き継ぎは終わった。
どうも、花粉症が厳しい、作者のヒッキーです。
こんな演説されたらどうしますか。作者は笑ってみます。次話ではその他が登場。