5月ー5 走りまわれ
この学校は広い。メエが真面目(……のはず)だから学校から出ることはないことは幸いだが、こういうときはここの広さをうらむぞ。
「なあラブ、どこかいきそうな場所はないのか?」
「は、はや、す、ぎま、す。」
もう、ついてこれなくなった。
「俺だけでもしらみつぶしにさがす!」
「わ、わか、り、ました。」
ラブをほっといて、ダッシュでさがしにいった。
「いない……か。」
さがし始めて10分ほどたったが、見つからないどころか情報すらない。誰もメエを見てないらしい。
「あの、メエちゃんは見つかりましたか?」
「いや。それどころか情報すらない。」
「私もです。いったいどこに……」
「とにかくさがすしかない。」
「はい。」
またわかれて、さがしにいった。とはいっても、屋上から外は見てみたし、校内は調べつくした。いったいどこに……
「……あそこか?」
よくよく考えてみると学校敷地内で1つだけ見てない場所があった。
校舎の裏は広めの湖があり、数年前、そこはベンチが置かれ、ちょっとした公園みたいなところとなり、そこは今や、校外に出ていけない生徒たちのデートスポットとなった。緑林公園。ここはそう呼ばれている。
「いた。」
そこの一番端の一番日当たりの悪そうなベンチにメエはいた。
「おい、バカ。こんなところにいやがったのか。」
メエがこっちを向いた。その顔は疲れなどのせいか、青白いように見える。
「さっさと帰るぞ。」
「……ねぇ、ゼロ。」
久しぶりにメエの声を聞いた気がする。……いや、本当に久しぶりなのか。
「ボクって、会長に向いてないのかな?」
「は?」
「ボクなんかが会長になっちゃいけないのかな?」
俺はおもわずメエのおでこに手を当ててしまった。
「ボクは熱なんかないよ。真剣に考えて、それで出たんだよ。」
「本気で言ってるのか?それが結果なのか?」
「そうだよ。」
こいつは本物のバカではないと思っていた。
「いいか。お前はちゃんとした会長なんかになれてるわけないだろ。」
「えっ?」
メエはショックというよりも受けいれるような表情をした。
「お前はまだまだ未熟だ。もちろん俺だってそうだ。でもな、人間は成長するんだ。少しずつ前に進んでいくんだ。今は未熟でも毎日進め。進んで、認められるような会長になれ。」
「う、うん。」
俺はバイオリンをとりだした。
「では、そんな会長のためにコンサートをさせてもらいます。」
「えっ?えっ?」
〜〜♪〜〜♪
勝手に演奏を始めた。しかし、こういうのを聞くと人間は不思議と眠くなってしまうものだ。このごろ寝れてなかったメエならなおさらだろう。
案の定、数分で眠そうにして、10分もたたないうちに寝てしまった。
「メエちゃん寝ちゃった?」
演奏をやめると後ろからマジさんにハルさんにラブ、榊までいる。生徒会メンバーせいぞろいだ。
「私たちの生徒会は抜けているやつばかりではなかったみたいだな。」
「ですね。」
なんとなくこうなることはわかっていたのかもしれない。
「じゃあ、ラブはここでメエを見ててくれ。他は俺がいったことをやって下さい。」
「わかった。」
「OK。」
「わかりました。」
「……わかった。」
「さて……」
俺は全員を見回した。
「生徒会を敵に回したときの怖さを身にしみさせてやるぞ。」
「おお!めずらしくゼロがもえている。」
なんか、かっこよくキメれたと思ったが、やっぱりハルさんは油断ならないな。
運動場……ここも広いことを除けば特に変わったところはない。ちなみに、開明高校は結構部活は盛んである。