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5月ー4 逃亡

 キーン コーン カーン コーン


 次の日、午前中の授業はすべて寝ていた。結局、昨日はほとんど寝れなかった。


 「はっはっはっ、どうしたのだね?」


 今はこの声にリアクションをとりたくない。というかめんどい。


 「あれ、なんでハル先輩がいるんですか?」


 「やはー、ラブちゃん。ここのスリーピングボーイはどうしたんだい?」


 わかりにくい言い回しをしなくても。


 「何か用ですか?」


 「わお!スリーピングボーイじゃなくてスレプトボーイだったのかい!」


 「で、何か用ですか?」


 なかなかすすまない。


 「そうだったね。オホン。………………用事なんてものはない!!」


 「さっきのためはなんですか!!」


 「やはー。実はメエちゃんをからかいにきたんだけどさー、いないしさー。簡単に言うと…………暇だ!!」


 「……そうですか。」


 もうツッコミするのに疲れた。このままだと午後も寝てしまいそうだ。


 「あの、そろそろ昼休みが終わっちゃいますよ。」


 きづけばすでに残り5分になってる。


 「バイバイ。」


 ハルさんは風のようにさっていった。本当に嵐のような人だな。そして、嵐の後は異常なほど静かになった。


 「何だったんだ?」


 「もしかして、ゼロくんを励ましにきたのかも。」


 「あのハルさんが?ないない。」


 俺は当たり前のように言った。






 さて、放課後になった。しかし、本日の生徒会はないという通達がきたのでひまだ。


 「あの、メエちゃんに会いにいきませんか?」


 という提案にのって、メエの様子を見に行くことにした。


 「でも、メエの部屋の前まで行くわけにもいかないだろ。そこはどうするんだ?」


 「それは秘密。」


 ラブにしてはめずらしくもったいぶってきた。


 「なら、ラブにまかせるよ。」


 答えはすぐに出るだろうし、気にしないでついていくことにした。






 「これを着て下さい。」


 とりあえず女子側の寮の談話室についた俺にラブが差し出したものは、女子用の制服だった。


 「秘密にしといて、こんなオチかー!!」


 「だめですか?」


 「だめ以前の問題だ!そもそも、どう考えてもばれるだろ!」


 「大丈夫ですよ。」


 「ツッコミのラブよ、帰ってきてくれ!」


 そんな問答が数分続いた。せっかくメエがいなくなって体力が温存できてたのに、さっきのせいでいっきになくなったぞ。


 「ええと、頼めば入れてくれると思います。」


 「最初からそれでいけばよかったんじゃないか?」


 無駄な体力の消費をしただけだった。






 「笹川ささがわ先生。」


 「何かしら?」


 眼鏡をかけた聡明そうな女性がカウンターにいた。この人が女子寮の寮監、笹川先生(日本史担当)だ。生徒会は学校のだいたいは権力が通じるが唯一、寮だけは寮長と寮監が絶対なので、生徒会といえど許可がいる。


 「ゼロ……高月くんとメエ………………。…………」


 「メエの名字は佐倉な。」


 「あっ、佐倉さんの部屋にお見舞いに行きたいんです。だから、高月くんが入るのを許可してくれませんか?」


 「ああ、いいぞ。」


 なんか、あっさりとOKがもらえたな。


 「ただし、部屋に入るのは高月だけだ。」


 「はい?」


 何言っちゃってるんだ、この人は。逆なら俺もよく分かる。寮監が俺に入るなと言うならば、あきらめさせていただきます。でも、逆はないだろ逆は。まさか、寮監のくせに酒でも飲んでるのか?そうだ。いや、そうにちがいない。そうでもなきゃ形だけの寮監だとしてもそんなバカなことは言わないだろ。


 「当たり前だが、酒など入っていないからな。」


 本人にいきなり否定されてしまった。


 「ただ、名前をあなたが覚えていたから信用できると思っただけだ。」


 この人の前でど忘れということが起きたら、かわいそうなことになりそうだ。


 「でも、まさか女子の部屋に男子をほうりこむつもりか?」


 「もちろん、部屋の前まではついていきますけど、中では学校でやっちゃいけないことも許してやろう。もちろん、外で聞いておいてやる。」


 こんな教師がいるこの学校は相変わらず無茶苦茶だ。まあ、メエが入れた時点ですでに無茶苦茶か。


 「いれてくれるならまあ、ありがとうございます。」


 という感じでメエの部屋にいけた。






 「私たちはここでまっているからな。」


 なんか変だが、とりあえずメエの部屋の扉をノックする。


 「おーい、メエ、見舞いに来たぞ!」


 反応がない。ノブをひねってみると、開いた……わけもなく、ちゃんと鍵が閉まっている。


 「鍵が閉まってるし、反応もないから寝ているみたいだな。」


 「そうなんですか?でも、何かを差し入れに行くかもしれないからどこかにいくとき以外は開けといてって言っておいたはずなんですけど。」


 「なら、少し出て……」


 そこで止まった。今のメエの状態を考えると外出というのは考えづらい。……まさかだが、無意識でどこかにいったのか?それだと少々めんどうなことになるかもしれない。


 「さがすか。」


 「そうですね。」


 ラブは少し焦っているように言った。


 俺たちは寮をダッシュで出ていった。


 食堂……いたって普通の食堂。この学校は全寮制のためか広さはかなり広い。だが、斑目前会長の改造の結果、メニューがかなり多くなってしまったりしている。

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